俳優の「ショーケン」こと萩原健一さんが亡くなって1年がたった。初期の代表作「太陽にほえろ!」では、若手刑事マカロニとして親しまれた。プロデューサーの岡田晋吉氏は「ショーケンはもしかしたら、この作品に出たくなかったのかもしれない。だが彼の反骨精神とこだわりは、まさに求めていた主人公刑事そのものだった」と振り返る——。

※本稿は岡田晋吉『ショーケンと優作、そして裕次郎 「太陽にほえろ!」レジェンドの素顔』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

俳優、萩原健一=2013年8月5日
写真=アフロ
俳優、萩原健一=2013年8月5日

「坊や」のあだ名に激怒していた

「坊や!? 冗談じゃねえよ!」

萩原健一の第一声だった。彼がそう言っている、というのだ。しかも、よく聞くと、烈火のごとく怒っている、と。こちらとしては、刑事に全員、あだ名をつけることにしていて、彼には「坊や」と決めていたのだが……。

彼は自著『ショーケン』(講談社)の中で、こう語っている。

“「太陽にほえろ!」……このタイトルからして、自分のセンスとはかけ離れていました。何だか田舎臭く感じられて、(こんなの、出たかねえや!)……(中略)当時はこういう感覚が主流だったのです。ぼくの役名も、最初は可愛かわいらしく「坊や」だった。おいおい、坊やはねえだろう”

そもそも、彼はこの番組に出たくなかったのではないだろうか。そう考えると、納得できることがいくつもある。彼の言い分は「俺は坊やじゃない」の一点張り。こちらも、こんなことでは引き下がれない。

「早見刑事という役のあだ名が『坊や』であって、お前さんを“坊や”だと言っているわけじゃないんだよ」
「そのあだ名は、あくまでもドラマの中の人物につけられているんだから」