都合の悪いことは「外遊」か「解散」で忘れてもらう

萩生田光一文部科学相は「学園側に事実関係を確認している」というが、加計学園側は、「入学選抜試験は一貫して適正に実施している」と、応じる考えはないようだ。

新設までの経緯を見る限り、今回の加計学園のいい分は信用できない。また安倍の威光を笠に着て、有耶無耶にしようというハラではないのか。安倍のポチである萩生田に、事実解明を期待するほうが無理というものだろう。

国民を舐め切った安倍政権が倒れずに続いているのは、われわれが安倍官邸の巧妙な戦略にハメられているからだ。

官邸のやり方は、「やってるふり」と、政権を揺るがすスキャンダルが出たときは、時間を稼いで「忘れさせる」、この2つである。

忘れさせるためには、外遊と称して海外に逃げてしまう、突然、解散して選挙に打って出るという2つのやり方が用いられる。

典型的なのは、2017年の第48回衆議院総選挙だ。アベノミクスの行き詰まりと、モリ・カケ問題で追い詰められていた安倍首相は、臨時国会を開けという野党の要求を無視し、3カ月も逃げ回った。挙句に、国会開会の冒頭でいきなり、「北朝鮮の危機が迫っている」などという屁理屈を無理やりつけ、解散してしまったのである。

新型コロナを「神風邪」と考えていたが…

この時は、安倍にツキもあった。小池都知事が「希望の党」をつくり国政へ出ると宣言して、野党が結集するかに見えた。そうなれば、安倍政権に飽いた有権者は雪崩を打って希望へ向かうと予想されたが、小池が一部の民進党議員を排除すると発言して、一気に、新党への期待はしぼんでしまった。

今回の新型コロナウイルス感染も、最初、安倍は「神風邪」だと考えていたと、一部の週刊誌が報じていた。これで次々に不都合な事実が出て来る「桜を見る会」疑惑追及は、いったん休止になり、コロナ騒動が終わる頃には忘れてくれる、そう考えていたようだ。

だが、感染は日本にも広がり、このままいけば東京オリンピックも中止か延期になる。慌てた安倍首相は、思い付きに過ぎない施策を次々に繰り出し、自民党の中からも、「殿ご乱心」という声が出ている。

東京五輪をやってもやらなくても、安倍政権は終焉に向かう。だが、また安倍のそっくりさんが出て来る。そうさせないためには、国民の側が、このお粗末な政権がやってきたことを忘れずに記憶して、次の世代に引き継ぐことである。