死にたくないといっても無理なのだ

手塚さんは前述のとおり「死にたくない」と著書に綴っているが、自身の生死について、実際にどのように向き合っていたのだろうか。

「亡くなる2週間くらい前から、手塚は寝たきりで意識もなくなってきたのですが、それでも起き上がろうとするのです。『頼むから仕事をさせてくれ』。これが最後の言葉でした。やるべき仕事をやり終えていないのだと。まさに『火の鳥』のテーマにもなっているように、生きるということがどういうことなのかがわかる言葉でした」(松谷社長)。

死を怖がっていても何も始まらない。死にたくないといっても無理なのだ。死なないことが幸せではなく、生きがいを見つけることが大事なのだ。生きるとか死ぬとかを考えることは大したことではないのではないか。手塚さんの言葉が胸にしみる。

「火の鳥」鳳凰編

手塚さんの作品は、鉄腕アトムやブラック・ジャックをはじめ、子ども向けの作品が多い印象だった。しかし、大人になってから読み返すと新たな発見がある。死について考え始めた、考えているという人は、手塚さんの作品をご覧になって、自分の考えを見つめ直してはいかがだろうか。

松谷孝征
手塚プロダクション代表取締役社長
「漫画サンデー」(実業之日本社)で手塚治虫の担当編集者になったことが縁で、1973年、手塚プロダクションに入社し、手塚治虫のマネジャーになる。85年4月より現職。
(撮影=石橋素幸 漫画提供=手塚プロダクション)
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