土日の開催で、子育て世代もとりこぼさない

写真=山本さん提供
山本さんが主宰するNTTグループの有志団体「O-Den」の様子。毎回のテーマを設けた勉強会・イベントはNTTグループの垣根を越えて集う場になっている

「O-Den」の活動には、今や、若手だけでなく40代以上の社員や役員クラスの参加も見られるようになった。幹部クラスの社員との交流は、若いメンバーにとっては刺激的かつ非常に有意義なものだ。また、ゆるくつながるだけではなく、テーマを決めて社内外で活躍している人を講師に招いての勉強会も行っている。

平日の夜だけでなく、時には休日の昼間に開催することもある。会場の近くに子ども部屋を用意してシッターを雇い、子育て中の社員が子どもを預けて気兼ねなく参加できるようにという配慮は、山本さん自身が子育て世代の真っただ中にいるからこその発想だ。

「シッターに預けられるならと、ママ社員が安心してO-Denに参加できるという場合もあるし、僕みたいにパパ社員が子どもを家から連れ出して参加すれば、たまの息抜きができて奥さんが喜んでくれます(笑)」

東京での開催に、北海道や東北からも人が集まる。「O-Den」がなかったら、辞めていたかも……という声も多いという。「これだけの熱量がある人が社内にいっぱいいることをO-Denに参加して初めて知った」という若手社員たちにとっては「互いに刺激を与え続ける場所」として、なくてはならないものになっているのだろう。

「O-Den」には、退職した元社員の参加も認めている。また、そこから派生した「O-Den 20’s」という20代の会もある。「邪悪な目的さえなければあとは自由です」と山本さんはおおらかに笑う。

会社を超えてつながる「ONE JAPAN」の立ち上げへ

「O-Den」の活動は、NTTグループ内に着々と「串」を通していった。上司と部下、先輩と後輩をつなぐ「縦」の関係、同期同士の「横」の関係、さらには所属部署を超えての「斜め」の関係。大企業の中でくすぶっていた若手社員たちは、つながることで「ワクワク働きたい」という想いを「あきらめない」ことを選んだのだ。

さらに、この活動は発展していく。「O-Den」のアイデアのきっかけとなる言葉をくれた濱松誠氏(パナソニック=当時)らとともに、2016年には会社を超えて大企業の若手中堅有志社員の実践コミュニティ「ONE JAPAN(ワンジャパン)」を立ち上げた。設立時の参加企業は26社、120人。現在は50社、1700人にまで拡大した。

「ONE JAPAN」では、月に一回の会議、年に一回の総会などの集まりを通じて互いの会社で行った活動の経験を失敗例も含めて共有している。また、会社という枠を超えたオープンイノベーションやコラボレーションも実現してきた。

例えば2018年の総会は「モノ・サービス博」というテーマで開催。参加企業各社がイチオシの商品やサービスを展示し、互いにプレゼンを行った。そこから生まれたのが三越伊勢丹と富士通のコラボによる「CARITE(カリテ)」というスマホのアプリを使った洋服レンタルのシェアリングサービスだ。「大企業同士のオープンイノベーションや枠を超えた取り組み」に非常に高い関心と注目が集まっている。