時間無制限の記者会見で、大量のメッセージを発信

圧倒的な量をこなす重要性は、その後もずっと感じています。

知事や市長だった頃には、他の政治家から「橋下さんは、よくメディアで取り上げられていいですね」などと言われましたが、それは「メッセージの発信量」において僕が圧倒的だったからでしょう。大阪府庁内で週に1度行われていた定例記者会見は、質問がなくなるまで時間無制限でやっていました。2時間や3時間にわたって記者の質問に答え続けることもよくありました。

その定例記者会見とは別に、朝の登庁時と夕方・夜の退庁時にも、役所の廊下で僕が立ったまま記者の質疑に対応する通称「ぶら下がり」も、毎日、質問がなくなるまでやっていました。大きな会議やイベントがあったときも同様です。

記者会見を時間無制限にしていた理由は、知事・市長・国政政党の代表という権力者の立場に就いた以上、国民から不断の監視を受ける必要がありますし、国民に対しても情報提供する義務が生じるからです。

国民ひとりひとりに対応するわけにはいきませんから、テレビカメラの向こうに存在する国民や、新聞・雑誌を読んでいる国民を想定して対応していたつもりです。

「メディアが報じてくれない」は政治家の愚痴にすぎない

このような考えですから、ただ単に時間無制限にしていい加減に答えていたわけではなく、国民が納得できる返答ができるよう、日ごろの準備も怠りませんでした。僕は、しばしば賛否両論が沸き起こる強烈なメッセージを放つこともしていましたが、そういうときほど記者がどれだけ意地悪な質問をしてきたとしても持論を展開できるよう、完璧な準備をしていました。これは、テレビに出演する際に持論を展開できるようにしっかり準備していたのと同じです。テレビ出演の際に一生懸命行動していたことが、ここで活きてきた。面白いものです。

ここまでのことをやって、やっと、そのうちのほんの少しのメッセージが、メディアで報じられるという感じです。1万のメッセージを記者に発して、やっと1くらいが報じられるという感じでしょうか。そうであれば 10のメッセージを報じてもらおうと思ったら、10万のメッセージを記者に発しなければなりません。1を発して、そのまま1を報じてもらえるようなものではないのです。

「俺がしゃべっても、全然メディアは報じてくれない。橋下さんはうらやましい」と愚痴を言っている政治家に限って、そもそもの発信量はまったくもって少ないし、あえて報じる価値もない、誰もが言うようなことをダラダラと記者に話しているだけです。