東芝機械にTOBを仕掛けた旧村上ファンド

「東芝機械にTOB(株式公開買い付け)をかけたのは日本に籍を置いたファンドなんです。これでは外為法では手が出せません。村上世彰さんも考えているんだと思います」

写真=時事通信フォト
記者会見する村上ファンドの村上世彰代表(東京・中央区日本橋兜町の東京証券取引所)=2006年6月5日

ある経済産業省の幹部はこう語る。

旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスが1月21日、工作機械メーカーの東芝機械に対して、株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。シティは同じく村上氏が実質支配するオフィスサポートとエスグラントコーポレーションと共に、東芝機械株の12.75%を共同保有する実質筆頭株主である。

TOBはこの3社が実施し、最大259億円を投じて発行済株式の43.82%まで取得する方針を打ち出している。買い付け期間は3月4日までで、買い付け価格は1株3456円。TOBの通知を受けたと東芝機械側が発表した1月17日の終値より約11%高い価格だ。

東芝機械の経営陣はこれに反発し、買収防衛策を発動する方針を明らかにするなど、対決姿勢を鮮明にしているが、ひとまずその話は置く。経産省幹部の話の背景をまず説明しよう。