「面白い」けれど、活用しなかったサービス

一方、損をしてすぐに退会したサブスクリプションサービスもあります。ブランド品を定期貸し出ししてくれるサービスです。これはほとんど活用しないままやめました。ある方に勧められて加入したのですが、私はそのような高級なファッションに興味がなかったためです。ここではかなりのお金をムダにしました。

知人に頼まれてサブスクリプションの調査サービスに加入したこともあります。月額5万円を支払えば、ビジネスにまつわるさまざまな市場調査をしてくれるというサービスです。たとえば「日本でアダルトショップは何店あるか」「タイの靴下市場は何億バーツ規模か」などです。最初は面白がって依頼しましたが、そのうちお金を払うだけになって、結局はやめました。その他「面白い」とは思ったものの、結局、活用しなかったサブスクリプションサービスには、以下のようなものがありました。

・特定の飲食店でランチが食べられるもの
・特定のカフェでコーヒーをもち帰れるもの
・居住地を定期的に変更できるもの
・医師に健康問題を相談できるもの
・観光地に何度も入場できるもの

加入前に「使用頻度」を確かめる

トクだったものと、払い損になったものの違いは使用回数です。サブスクリプションサービスは、使用するほどもとが取れます。またサービスによっては利用頻度が高いほど、提供側がこちらを理解し、深いサービスを提供してくれるようになりました。

坂口孝則『日本人の給料はなぜこんなに安いのか 生活の中にある「コスト」と「リターン」の経済学』(SB新書)

ですのでサブスクリプションサービスをコストパフォーマンスよく使いたいなら、加入前に使用頻度を確認しましょう。使いはじめてから使用頻度が低いとわかったらただちに停止することです。「そのうち使うようになる」ことはまずありません。再び必要になったら、改めて加入すればいいのです。特定の期間継続しないと違約金を払わなければならない場合もありますが、それを払ってでも即時停止したほうが安上がりになることは多いものです。

「迷いたくない、を解消するためにお金を使わせる」という観点からしても、その他の面からしても、サブスクリプションサービスは私たちの思考停止を招きやすいサービスです。効率のよい「コスト」と「リターン」を考えるなら、クレジットカードの明細を定期的に見直す時間をとり、「不要だと思ったらすぐやめる」。これがサブスクリプションを使いこなすコツだと思います。

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