一番の望みは「スマートキャリア」が不要になること

——各企業が時短正社員などの選択肢を設けるようになれば、働き手にとって「スマートキャリア」が不要になる時が来るかもしれません。

時短正社員が特別なことではなくなるということですよね。それが一番の望みです。そのためには実績を作ることが大事だと思っています。

例えば、かつてネット通販は怖いものでした。ちゃんと注文通り商品が届くのか不安だったからです。しかし、今では怖がる人はいません。注文すればちゃんと届くという実績が積み重なったからです。雇用の世界も同じで、時短や派遣の人材をうまく活用できるという実績を我々が作っていきたいのです。

——早く社会が追い付いてこい、ということでしょうか。

私たちは大手のパーソルテンプスタッフさん、リクルートスタッフィングさんとともに、時短で働く人を増やす取り組みを行っています。競合他社ですが、「世の中を変えていくアクションくらい結束して起こしていかないと」という意識のもと、3社でイベントを開きました。

撮影=プレジデントオンライン編集部

でも、時短や派遣の人が当たり前のように働ける職場が増えたとしても、我々の会社がなくなるとは考えていません。働く人の希望というのは条件によって変動するもので、時代が変わればまた別の新たな課題が生まれるものだからです。

興味深いデータがあります。私たちのしゅふJOB総研という調査機関で、働く主婦にアンケートをとったところ、「いま最も望ましい働き方は?」という質問で「短時間非正規社員」もしくは「短時間正社員」と答えた人は合わせて71.0%でした。一方で「フルタイム正社員」と答えた人はわずか13.1%でした。

ところが、まったく同じ人に「もし100%仕事に時間を使えるなら最も望ましい働き方は?」という質問をしたところ、「フルタイム正社員」と答えた人は62.2%だったのです。希望する働き方が二層構造になっているんですね。

働く人の本音を探っていきながら次の時代に求められるサービスを実現していく。時代が変わってニーズが変わったら、別の課題が生まれてくるでしょう。今度はそこに向けてビジネスを変えていくだけ。これからどう社会が変化しても、「不本意な労働をゼロにしたい」という私たちの原点は変わりません。

(構成=プレジデントオンライン編集部)
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