転職回数が多いと人格的に問題ありと思われる

では、なぜ転職回数が多い人は企業から敬遠されてしまうのだろうか。その理由はいくつか考えられるが、まずは「辞めグセがあるのではないか」と思われてしまうことがある。

例えば、30歳で転職経験3回だとすると、今勤務している会社で4社目ということになる。つまり、大学を卒業してから今まで3年も経たずに辞めている会社があるということだ。そのため採用担当者は「うちに入社してもすぐに辞めてしまうんじゃないか」と危惧してしまう。

また、人格的に問題があると思われるという理由もある。どの会社も長続きしないということは、「この人にはどこか欠点があるんじゃないか」「会社員として、チームの一員として欠陥があるんじゃないか」と見なされてしまう。これは辞めた理由が自己都合であれ会社都合であれ、関係なくそう判断される。

採用担当者は「安全第一主義」。採用にはコストがかかるので、採用した社員に短期のうちに辞められてしまうのは生産性が低い。「離職するリスクが高い候補者は、最初から排除しておこう」というのが採用担当者の本音なのだ。私個人としては、社員が離職しないようにするには、「辞めない人を採用する」のではなくて、「人が辞めない会社にする」「会社をよくする」以外に方法はないと思っている。

本当は会社が離職原因のケースが多いが…

多くの転職希望者と面談した経験からいえるのは、社員が離職するのは会社が悪いケースが少なくとも6割。本当にいい会社なら、社員は辞める必要がないはずである。会社をよくするには、基本的なことだがセクシャルハラスメントやパワーハラスメントを許さないなど、社員が気持ちよく働けるよう、まずは幹部社員教育を徹底することだ。

しかし、企業はこうした本質には気づかずに「辞めない社員を採用する」という方針を貫いており、この現実を変えることは難しい。退職に至る事情はさまざまだと思うが、これまで2回転職してきた人は次が最後だと考えたほうがよい。3回以上転職してきた人はエントリーしても弾かれる可能性が高いと心得て、転職活動に臨むべきだろう。