容易ではない米・中有力企業との競争

今回の経営統合で新会社が、GAFAや中国企業など世界のIT先端企業との競争に真正面から臨めるだろうか。それは口で言うほど容易なことではない。ZHDとLINEの時価総額を合算すると3兆2000億円と、米中のIT先端企業との差は歴然だ。研究開発に関しても、2社合わせて200億円程度だ。

新会社がGAFAなどに先駆けて新しい発想を実用化できれば、世界の市場でシェアを獲得できるチャンスはある。ただ、現時点でそうした展開を想定することは難しいだろう。時価総額や研究開発以外にも、収益力や人員数をはじめ、経営体制とその規模にはかなりの差がある。

見方を変えれば、ZHDとLINEは、米中のIT大手とは異なる発想をもとに戦略を立案し、新しい分野、あるいはニッチな分野に目を向けていく方が良いだろう。その一つとして、先端テクノロジーの活用を用いてわが国が抱える具体的な問題の解決を考えることも選択肢になるかもしれない。

世界に先駆けて省人化技術を実用化できるか

わが国では、少子化と高齢化に加え、人口減少が急速に進んでいる。IoT(モノのインターネット化)に関する技術やデバイスの導入を目指し、人々の移動や暮らし、企業の生産性向上を目指すことは経済の実力を維持・向上させるために重要だ。

人口問題は、わが国だけの問題ではない。来年から韓国では人口減少社会を迎えるとみられる。すでに、中国経済は生産年齢人口の減少に直面し、労働コストが上昇している。それは、中国経済の潜在成長率の低下要因だ。わが国において両社が最先端の省人化技術などを開発し、実用化することは、アジア各国における需要創出にもつながると考えられる。

また物流、飲食、製造の現場、建設などさまざまな分野で、“人手不足”は世界的な課題でもあるため、わが国が他国に先駆けて省人化技術を実用化することには大きな意義がある。