電話で長話されるときも話の整理は有効です。昔、「はい……。はい……」と退屈そうに単調な相槌を打つことで、切り上げたい気持ちに気づいてもらおうとしたことがありました。しかし、ダメでした。そんなことをしても、自分の話をしたいだけの相手は気づかないのです。それよりも、「今おっしゃっていることは、こういうことですよね?」と要所要所で話を整理したほうが、結果的に話は早く終わります。

話を切り上げるため、その場にいる他の人へ話を振る方法もあります。たとえばゲストの話が終わらないとき、僕がメーンパーソナリティの大竹まことさんに話を振ることで、大体の人は「予定よりも長くしゃべってしまったのかな」と察する。ビジネスマンであれば、話を振る相手は目上の人や役職者のほうがいいでしょう。そうすれば長広舌をふるっていた人も、話す順番を譲りやすい。

ちょっといやらしいけれど、最初に「ヨイショ」をかますのも効果的です。たとえば番組にゲストをお迎えするとき、僕は必ず自分から挨拶して、「椅子の高さ、大丈夫ですか。飲み物は何がいいですか?」と気を使ったり、街頭インタビューでは「知的な感じがしますね。お仕事は?」など、機嫌よくしゃべってもらえるように接します。それによって後でこちらのペースに合わせてくれるような「下地」をつくっておくのです。

自ら話に参加して、自然に主導権を握れ

眠たい話を終わらせるのにもっとも大事なのは、自分が話の進行の主導権を握ることです。話を止められないということは、向こうに主導権を握られているということ。ただ座って話を聞いているだけでは受け身なので、向こうのペースでダラダラしゃべられると、防ぎようがありません。急にさえぎったら、「いきなりなんだ?」と部外者が騒ぎ出したような扱いを受けます。そこでところどころで話に参加しておいて、その場をコントロールする立場を維持しておくのです。

説教をされているなら、自分から至らぬところを認めて先に謝ってしまう。会議が混乱して長引きそうなら、司会でなくても、「今、こういう論点になってますよね。ということは、こうしたほうがいいのではないでしょうか」と話を整理してみる。話に割って入るのは勇気がいるかもしれません。しかし勇気をふるって口を挟むと、その一言が助け舟となり、意外と空気を乱すことなく議論が収束することが往々にしてあるものです。会議でも説教でも、「お客さん」でいないで、当事者意識をもって参加する。そのことで話を終わらせる一手が打ちやすくなるし、用事も早く済んでそのぶん時間を有意義に使えます。