「バカだからやる気が出ない」と嘆いても仕方ない

そもそも上司となる人は、その能力を会社から評価されているのである。必ずどこか光るところがあるはずで、たとえバカにしか見えなくても、まずは謙虚に観察してみることだ。そして、その上司のよさをひとつでも吸収したほうが、バカだからやる気が出ないとただ嘆いているよりはあなたにとってタメになる。

北 康利 著●平成最大の経営者と評される京セラ創業者・稲盛和夫氏の一代記。実父への手紙など新資料を託された著者による渾身の一冊。(毎日新聞出版)

いくら観察しても、どうしてもいいところが見つからないということもあるかもしれない。そういうときは、「自分はこうはならない、自分が上司になったらこの逆をやろう」という反面教師の役割を担ってもらえばいい。

もしも上司が、仕事はできないが部下の足は引っ張らない人格まろやかな人であったら、徹底的に利用することだ。リスクのある仕事もどんどんお願いしてやらせてもらい、何かあったときは許可を得ていることを盾に、責任をとってもらうのだ。

もちろん偉大な上司であれば、その人のやることを真似すればいい。石川島播磨重工業で薫陶をうけた土光敏夫を生涯の師と仰ぎ続けたのが真藤恒NTT初代社長だ。真藤さんの行動基準は常に土光敏夫であった。

上司と決別して会社を飛び出したほうがいいケース

最後に、上司と決別して会社を飛び出したほうがいいケースにも言及しておく。業界のこともよくわかっていない天下りの社長が連れてきた部長から、心ない言葉を浴びせられたのが、稲盛さんが会社を去った直接のきっかけである。

理不尽さに耐えるのは忍耐力を養う訓練になるが、人格を否定されたり、これだけは許せないという部分を蔑ろにされたりしたら、辞めるのも致し方ないだろう。悔しさをバネに新たな世界で花開くケースももちろんある。

だが、それには自ら運命を切り開けるだけの実力が必要だ。辞めるにしても、環境さえ変われば状況が好転するわけではない、ということだけは覚えておいてほしい。

▼バカでも優秀でも自分を磨く鑑になる

(構成=山口雅之)
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