長女も家庭教師のバイトを始め、仕送り代が4万円減

1カ月後、由美さんからメールをいただきました。

山下家の初の「家族マネー会議」は、最初はぎこちなかったそうですが、実際の家計簿の数字を見てもらい、たたただ節約ということではなく、「必要じゃないと思う出費を、みんなそれぞれに減らすようにしてみない?」と話したところ、稔さんが「ワインを毎月買うのをやめて、ワインセラーにあるものを大事に飲むことにするよ」と口火を切ってくれました。

すると「スカイプ」で東京から家庭会議に参加していた麻衣さんはバイトを始めると宣言し(月4万円の家庭教師のバイト代分、仕送り代を減額)、芽衣さんはピアノ教室の中止を納得したうえで、「ママがいろいろ買いすぎないよう、私が冷蔵庫と納戸の中をチェックするね」と、メンター役を買って出てくれました。

写真=iStock.com/kudou
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その結果、毎月23万円だった赤字が、約4万3000円にまで削減できるめどが立ちました。まだ毎月は赤字ですが、年間では大きく改善できることになります。

「黒字」を目指して頑張りすぎると、リバウンドする

一気に「黒字」を目指して頑張りすぎると、リバウンドしてしまいます。できることから始めていくことが大切ですし、山下家の場合、家族で話し合うことで、みんなが自分の問題として家計改善に取り組むようになりました。これは今後のさらなる改善に向けて大きな力になると思います。

「芽衣が社会人になるまでのあと5年、みんなで意識して取り組んでいけば、乗り越えられそうな気がしてきました」と、由美さんも前向きな気持ちになったようです。

山下家の場合は、夫の事故というタイミングが重なってしまいましたが、地方に住む親にとって、子どもへの仕送りは大きな負担になるものです。教育費はコントロールが難しい費目ですので、「どうしてもお金がかかる時期」には「貯金」をいったん脇に置いて、多少の赤字は覚悟しつつ「収支トントンの家計」を目指してもいいのではないでしょうか。

長い人生にはこうした「谷」の時期もあるもの。そのなかでどれだけ具体的な手を打てるかが、「強い家計」の指標になるのだと思います。