目が、見えなくなる可能性は誰にでもあり、その確率は加齢によって高まっていく。そこで、予防や早期発見のためにできる目にいい生活の習慣化と実践法について、「目の健康」のプロフェッショナルたちに聞いた。

Q.「目」の定期検診は受けたほうがいいか?

視力検査は、病気の発見のためにあった

眼科の定期検診は、もちろんできれば誰もが受けたほうがいいです。でも、みなさん忙しいでしょうから、若い人は「何か気になる症状があったときに眼科に行く」という程度でいいと思います。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Vasyl Dolmatov)

しかし、40代になったらぜひ、眼科の定期検診を受けてください。一番の理由は、緑内障の可能性が高まるためです。

緑内障は、日本人の視覚障害の原因として一番多く、視神経に障害が起きて少しずつ見える範囲(視野)が狭くなり、失明につながる怖い病気です。40歳を過ぎるとかかるリスクが高まり、40歳以上の5%、つまり20人に1人がかかっているという研究報告もあります。

早い段階で発見して治療を始めれば、進行を遅らせることができるのですが、初期は自覚症状がほとんどないために気付きにくく、定期的に検診を受けないとわかりません。

病気が進行してから治療を始めても、1度損なわれた視神経は元に戻りません。ですから緑内障は早期発見が非常に重要なのです。

さらに、緑内障にかかわらず多くの目の病気は、早期発見が重要なのに自覚症状がほとんどないという特徴があります。目は2つあって、片方に異常があっても、もう片方がその機能をカバーするという、とてもよくできた器官です。このため、片方の目で視力が落ちたり視野が狭くなったりしても、なかなか気付かないのです。

会社や自治体の健康診断には、視力、眼圧、眼底などいくつか眼科の検査が入っていますが、それぞれの目的はご存じでしょうか。

まず視力検査は、病気の発見のためというイメージは持ちにくいかもしれませんが、そうではありません。視力の悪化の背景には、何かしら目の病気がある可能性が高いからです。もちろん、メガネやコンタクトレンズが合っていないといった理由で視力が落ちている可能性もありますが、前述の緑内障のほか、白内障や加齢黄斑変性など、あらゆる目の病気の症状が視力の低下に表れます。

眼圧の検査は、主に緑内障の可能性を調べます。基準値よりも高いと、緑内障の可能性が高くなります。

眼圧とは眼球内の圧力のことです。目の表面にある角膜と、目のレンズにあたる水晶体の間には、房水という水が流れていて、眼圧を保っているのですが、房水の流れが滞ったり、詰まったりして流れなくなると眼圧が上がってしまいます。すると、目と脳をつなぐ視神経が圧迫されて傷つき、少しずつ見える範囲が狭まり、緑内障になるのです。