いま衆参同日選になれば、野党は壊滅的な敗北に

菅発言で、野党には激震が走った。

「野党が不信任決議案を出したら解散」ということは、言い換えれば野党側に衆院の解散権が委ねられたようなもの。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「解散をしたがっている与党が野党第1党に疑似解散権を委ねているような不可思議な状況」と解説している。

解散権が安倍晋三首相から委ねられるのだから、本来ならば野党は歓迎すべきことなのだろう。しかし、現状は違う。

現在の野党は、参院選の1人区の候補者調整に一定のめどが立ったところ。衆院選の選挙区調整は、緒に就いたばかりだ。今、衆院を解散して衆参同日選になったら壊滅的な敗北になりかねないのは、彼らが一番よく知っている。

「衆院解散なら国民民主党も解散」のブラックジョーク

ここから野党内の温度差が出てくる。特に民主党をルーツに持つ立憲民主党と国民民主党の足並みの乱れは深刻だ。

両党が置かれている立場は正反対だ。立憲民主党は17年の衆院選の時ほどの勢いはないものの、それでも野党の中では圧倒的に高い支持を得ている。JNNが6月1、2日に行った世論調査では「参院選比例代表ではどこの党に投票したいか」との質問に7.0%が立憲民主党と答えた。

一方、国民民主党の方は支持は1.1%。小沢一郎氏が率いる自由党と合流して活路を見いだそうとしたが、上昇気流に乗る気配はない。

今、衆参同日選となれば、立憲民主党は多少の議席増が見込めるが、国民民主党は壊滅的な敗北を喫することになりかねない。永田町内では「衆院を解散すれば、結果として国民民主党も解散することになる」というブラックジョークも飛び交う。