何かに没頭しているときは、夜遅くまででもやらせておく

【佐藤】あとは子どもを子ども扱いしないということにも気を使いましたね。赤ちゃん言葉は使わないとか、大人の話に加えるとか。

佐藤亮子さん(撮影=市来朋久)

【和田】そこも大切ですね。子どもというのは背伸びをしたい願望の強い生き物ですから、大人っぽい自分をカッコいいと思うわけです。

【佐藤】そう。子どもって漫画の『名探偵コナン』みたいで、体は小さいけど、案外いろいろなことを知っていたり、できたりする。2、3歳からそう。そういう部分を親が見つけてやって、認めてやる。

【和田】子どもが好きになれるもの、夢中になれるものを探して、それに出合わせてやるのが、この時期の親のいちばん大切な仕事なんじゃないかと、私も思います。できないことを責めたり、合わないことを続けさせたりしても何の意味もない。

【佐藤】そうですね。私も子どもが何かに没頭しているときは、夜遅くまででもやらせておくようにしていました。生活のリズムや片付けなんかよりも、何かに熱中するということのほうが大事だと思っていましたから。寝不足ならば次の朝、ゆっくり寝かせてやればいいだけですし。

【和田】余談ですが、遊びでも勉強でも何かに熱中することは大事ですが、テレビゲームやスマホは除外したほうがいい。大人も含めて10人に1人が依存症になるという危険性を持ったものを子どもに与えることには反対です。ほんと、余談ですが。

【佐藤】そうですね。わが家も12歳まではゲームを与えませんでした。

「根拠のない自信」を「根拠のある自信」に変える方法

【和田】できることをとことん褒めて「自分は賢い」「自分はカッコいい」「勉強は楽しい」という幻想を持たせる(笑)。これが幼児教育の第一歩です。それができれば、あとは「根拠のない自信」を「根拠のある自信」に変えていけばいい。

【佐藤】和田先生は「根拠のある自信」を育むには、どうすべきだとお考えですか?

【和田】なるべく早い段階から、ひらがな、かたかな、1桁のたし算、九九、そういう基礎学力をしっかりと丁寧に身に付けさせることだと思います。こういう勉強って、やれば誰でもできるようになる。できない子どもというのはまずいません。そもそも子どもというのは単純作業とか、ものを記憶するとかいうことが好きですし、得意なんです。もちろん中にはそういうことが嫌いな子どももいますが、親が子どもの喜びそうなおはじきを作って数に興味を持たせるなどの努力をすれば、子どもは必ず喜んで勉強するようになります。がんばってできるようになるという成功体験を積むことで、根拠のある自信が身に付いていくんですね。

【佐藤】うちの子どもたちも早い段階から公文の教室に通わせましたが、最初はなかなか興味を持ってくれなくて。ですから最初はまず私が公文のプリントをやってたんです(笑)。「これ、楽しいな」なんて言いながら、子どもが近づいてくるのを待って。半年かかりましたけど(笑)。