優良顧客は「小料理屋の常連客」のようなもの

客質が良いと、他のネットショップと販売価格を比べる客が少なくなり、返品やクレーム対応の必要な客も減る。つまり店舗運営のストレスは小さくなる。例えるなら、小料理屋で常連客のほうが一見さんよりも文句も言わず料理を「おいしい」と食べ続けてくれるのに状況は近い。

ヨドバシを昔から利用している優良顧客は、ヨドバシのサービスを心から信頼しているので、まとめ買いもしてくれるし、競合他社と価格を比較しながら買うこともほとんどしないのではないだろうか。長年貯めているポイントもあるので、多少、高い商品でも購入してくれるはずである。

また、客質が良ければ、クレームや問い合わせも少なくなるので、業務もスムーズに回るようになる。少なくとも、どっかのコンサルタントのようにボールペンを1本だけ注文するようなバカな買い物をする客は、レアなケースだと思われる。

人件費の高騰に耐えられるか

このように、ヨドバシエクストリームが事業として好調な理由は、

①自社配送が外注の配送業者を利用するよりも安い
②ネット通販とロジスティックの経験とノウハウが豊富
③顧客の質が高い

という3点だと思われる。おそらく、自社配送というクローズドな世界のため、配送の仕組みやノウハウが外に漏れにくいことも、ヨドバシの自社配送を他社がまねできない要因のひとつと考えられる。

ただ、ひとつだけ懸念することは、人件費の高騰である。今回、いろいろな宅配業者の求人広告を調査したところ、月給はアマゾンの配送ドライバーの41万円程度が一番高かった。巨大企業がネット通販の市場だけではなく、労働賃金の競争にまで突っ込んでくると、ノウハウと客質だけでヨドバシが対抗し続けることは、将来的に難しくなるのではないだろうか。

日本企業であるヨドバシにはもっと頑張ってほしいところがあるので、次回はボールペン1本という失礼な注文ではなく、客単価の高い商品を注文して、もう少しヨドバシの売り上げに貢献していきたいと思う。

竹内 謙礼(たけうち・けんれい)
有限会社いろは代表取締役
大企業、中小企業問わず、販促戦略立案、新規事業、起業アドバイスを行う経営コンサルタント。大学卒業後、雑誌編集者を経て観光牧場の企画広報に携わる。現在は雑誌や新聞に連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行い、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、多くの経営者や起業家に対して低料金の会員制コンサルティング事業を積極的に行っている。著書に『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』(日本経済新聞社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)ほか多数。
(写真=時事通信フォト)
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