2月28日、東京・中目黒に日本初の特別なスターバックスがオープンした。飲み物は他店にない限定商品が多く、1杯1000円超も珍しくない。店舗を訪れたコラムニストの辛酸なめ子さんは「意識高い系の人が多いと予想しましたが、実際はふだんディズニーランドに行き慣れている人向きだとわかりました」という――。
写真提供=スターバックス

中目黒の高級スタバの客をウオッチング

東京・中目黒はただでさえ3店舗もスタバがあるおしゃれタウンですが、2月28日、目黒川沿いに焙煎工場を併設した高級な新店舗「スターバックス リザーブ ロースタリー東京」がオープンしました。まだ世界に5店舗しかなく、日本ではここが初めてだそうです。

さぞ、意識が高い人々が集まるのだろうと思い、意識のヴァイブスに身を投じるべく、アップル製品の仕事道具を持って中目黒に向かいました。

お店の情報を調べたらかなり混んでいるようなので、朝9時すぎに現地に到着。中目黒駅から徒歩で10分強です。取材時の3月下旬は、川沿いに桜が咲き始めていて(取材時)、楽しく歩けました。しばらくすると、ホテルかと思うほどの巨大な建物が目の前に現れます。

新国立競技場の設計をしたことも出知られる建築家・隈研吾氏による、木とガラスが絶妙に融合した4階建て。外側から大きな焙煎マシンも見えます。生豆からコーヒー豆ができるという流れをライブ感覚で眺めつつ、その豆を使ったオリジナルドリンクが味わえる、ふつうのスタバとは全然違う体験型のスタバです。最近、ハンドトリップが売りのサードウェーブコーヒーに押され気味だったスタバのプライドをかけた逆襲でしょうか。

「ここで仕事をしようという意気込みは場違い」

この特別なスタバに入るためには、まずは整理券をもらう必要があります。

なんと隣に建つ別会社の1階に、整理券交付マシン用のスペースを借りていて、そこで発券します。整理券にはQRコードが書かれていて、スマホで読み込むと入場予定時間がわかる仕組みです。万全な管理体制にスタバの財力を実感します。

朝早めに着いたので、入場までの待ち時間は数十分。「意外と楽勝だった、あとは中でゆっくり仕事できるかも……」と余裕の足取りで店内へ。

しかし、一歩足を踏み入れて、それはまったくの誤算であったと知りました。また、ここで仕事しよう、という意気込みも場違いであったかもしれません。