年齢を重ねると増えてくる体の変調。突然のそのとき、どこの病院に行き、どんな医師を訪ねるべきなのか。9つのポイントで検証した。第8回は「名医の非常勤先vs常勤先」――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです

「本当は、名医は外来患者も診たいんです」

テレビや書籍で驚嘆の凄腕を見せつける名医たちだが、診てもらえるのは政財界の大物や著名人、富裕層。我々には別世界の方々……というのが一般庶民の感覚であろう。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/hironakajima)

しかしその一方で、自身や親族にどうしてもそういう名医のお世話にならざるをえない事態が生じることがある。そんなとき、コネもカネもない我々が彼ら名医に速やかにアクセスする方法は、果たしてあるのだろうか。

一般に常道とされるのは、かかりつけの医師に紹介状(診療情報提供書)を書いてもらうこと。急ぎの旨を言い添えれば、待ち時間が縮まる可能性もある。その過程を経ずに、名医の常勤先の大学病院にいきなり飛び込むのは、あまり得策ではなさそうだ。

「病状が深刻ならば、名医に頼りたくなる気持ちは理解できます。ただ、彼らはとても忙しい。飛び込みで行っても、予約の患者が多く、後回しにされ、散々待たされることもある」

医師専任のキャリアコンサルタントの中村正志氏が言う。患者側からしても、大学病院でまた一から検査し直すのは時間的ロスも大きい。お目当ての名医ではなく、若い医師が担当となることもある。

紹介状は費用がかかる(保険診療の延長の場合、3000円に対しその人の負担率をかけた金額。紹介状だけ求める場合は自費診療の場合もある)とはいえ、紹介状ナシでも保険適用外の選定療養費を5000~2万円程度は取られてしまうから大差ない。

そもそも大学病院は、臨床・研究・教育の機関で、臨床でいえば高度医療や急性期の患者を扱うのを目的としている。なのに、大した症状でなくとも「とにかく名医に診てもらえば安心」「ナンバーワンに診てもらわないと気がすまない」とばかりにやってくる患者も少なくない。

「要は、病院と患者のマッチングがうまくなされていないわけです」

日本の医療を研究する会代表理事の川田諭氏が言う。まったく接触できぬわけではないが、名医にたどりつくには、それなりに手間がかかりそうだ。