ネットスーパー事業で楽天と提携

西友は今後、再建の道筋をどうつけるのか。いま同社が注力しているのは、ネットスーパー事業だ。もともと西友が「西友ネットスーパー」を開業したのは2000年と、業界内でも早かった。2013年からはDeNAと提携して「SEIYUドットコム」へリニューアル。16都道府県で、店舗からの配送を行ってきた。2016年7月時点で会員数が139万人を突破していた。

今年に入って、ウォルマートは楽天との提携を発表。西友と楽天の共同でネットスーパー事業を行うことを明かし、10月から「楽天西友ネットスーパー」がスタートした。10月25日に開催された記者発表会では、楽天西友ネットスーパーの竹田珠恵社長が「(西友売却の報道があるが)第三者と交渉している事実はない」と述べている。

「楽天西友ネットスーパー」グランドオープン記者会見に登壇した、西友の竹田珠恵執行役員とタレントの辻希美さん、楽天の小森紀昭執行役員(写真左から/編集部撮影)

楽天の力を借りて品揃えを拡充

イトーヨーカドーやイオンなど、大手スーパー各社もネットスーパー事業に取り組んでいる。競合との差別化をどう図るのか。

「楽天が有するID数1億超の強固な会員基盤やECの知見、西友が実店舗で培ってきた生鮮食品の販売を中心とするスーパー運営のノウハウ等、両社の強みを最大限に活用しながら協働運営することで、お客様のニーズにお応えできると考えている。具体的には、従来の西友ドットコムのネットスーパー商品に加え、楽天が開発した商品などの品揃えを追加することで品揃えを拡充する。店舗からの配送に加え、新たにネットスーパー専用センターを設け、配送能力も拡大した。お客様の希望の時間にお届けができる体制となっている」(西友広報部)

不振の実店舗に代わり、ネットスーパーが西友を救うことになるのか。今後の行方を注視していきたい。

佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
【関連記事】
満足度日本一"オーケー"がいつも安い理由
セブンが勝てない「最強コンビニ」の秘密
コンビニで1万円のケーキが完売する理由
スタバやコメダが「プロント化」する背景
日本人がユニクロの1割値上げに怒るワケ