企業経営者は、小なりといえども一国一城の主。いわば君主であって、マキアヴェッリの教えは、経営戦略に十分生かせます。そこらのハウツー本なんかよりも、よほど役に立つ。ただし経営者には薦めたいけれど、社員が読むには毒が強すぎるかもしれません。

本書を読むと、やる気が湧いてくるので、年に数回読み返しています。戦略書として評価の高い『失敗の本質』は、「日本軍はとんでもないことやってたんだな」と腹が立って、まともに読めないんですよ。それよりも私が好きなのは、逆転勝利の事例を集めたサクセスストーリーの『戦略の本質』。私は読書で元気を得たいんです。

▼鈴木喬が薦める 痛快な気持ちになる+5冊

『現代の経営』
●P・F・ドラッカー/ダイヤモンド社
“マネジメントの父”ドラッカーの代表的な著書であり、経営学のテキストとしても金字塔的な存在。企業の目的を「顧客の創造」ととらえ、顧客の視点から経営を考えるよう説く。


『マレーシア大富豪の教え』
●小西史彦/ダイヤモンド社
裸一貫でマレーシアに渡り、アジア有数の企業グループを一代で育て上げた実業家が、成功の秘訣と人生の極意を明かす。著者と旧知の間柄である鈴木会長いわく「快男児」。


『成功の実現』
●中村天風/日本経営合理化協会出版局
実業家、思想家、政財界人の師として、型破りな生涯を送った中村天風が、人生哲学をわかりやすく解説。生きるうえで最も大切なのは、「積極的な心構え」だと語りかける。


『韓非子 強者の人間学』
●守屋 洋/PHP研究所
諸葛孔明も愛読した帝王学のバイブル『韓非子』。人間の実態を冷徹に見つめ、法による国家支配、中央集権を唱える。同書を読み解くことで、競争社会を生き抜く知恵を学ぶ。


『戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ』
●野中郁次郎ほか/日経ビジネス人文庫
戦局を逆転させたリーダーシップとは何か? 世界史に残る戦争を題材に、名著『失敗の本質』の執筆陣が「戦略の本質」を解き明かす。ミドルマネジメントを担う人にお薦め。

鈴木 喬
エステー会長
1935年、東京都生まれ。一橋大学卒業後、日本生命にて、法人営業のトップセールスとして活躍。86年エステーに入社し、98年社長に。「消臭ポット」「消臭力」「脱臭炭」などをヒットさせた。
(構成=野澤正毅 撮影=岡田晃奈)
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