全世界に先駆けて導入するB787。軽量化などで燃料効率が約2割向上。コックピットの左右双方にヘッドアップディスプレーを搭載。
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全世界に先駆けて導入するB787。軽量化などで燃料効率が約2割向上。コックピットの左右双方にヘッドアップディスプレーを搭載。

東日本大震災がもたらした今回の危機。いま、「危機に強い男」は「最強の武器」の到着を待つ。米ボーイングが開発・製造し、普通席なら300席ほどが用意できるB787だ。同じ中型機「B767-300」の後継機。軽量で強度が高く、耐熱性に優れた炭素繊維の複合材を大量に使い、燃費効率が20%改善し、航続性能も貨物の搭載能力も大幅に上がる。整備効率もよく、試算では年間100億円ものコスト改善につながる。最新技術を駆使し、機内の気圧降下がほとんどなく、騒音も小さい。湿度の調節にも優れ、ボーイングでは「Dream Liner」(夢の定期便)と呼んでいる。

大橋は「これまでの飛行機とは全く異なり、軽く、強く、長持ちする。これに匹敵する機材は、ほかにない。ぜひ、世界に先駆けて導入したいと思った」と、導入決定時を振り返る。

世界で最初に発注する「ローンチ・カスタマー」となったことで、トイレに温水洗浄便座を入れるなど、様々な仕様を注文できた。客室の幅は16%広がり、ビジネスクラスを含めて280席確保しても、ゆとりを感じる。窓も1.2倍に広がり、機内は明るい。計55機を発注。当初は08年度に納入される予定だったが、開発が遅れていた。今回、この8月前後にようやく1機目が届く。すでに、4月から機長に対するシミュレーターを使った訓練が羽田で始まっている。早ければ、10~12月には初飛行が実現する。

航空業界には、大震災とは別の試練もある。格安航空会社(LCC)の登場だ。すでに、マレーシア勢や中国勢が、激しい攻勢をかけている。ANAは、ビジネス客やゆとりの旅行を求める層とサービスの乏しい格安で構わない層とは別の市場だと判断し、自らもLCCを設立することを決め、2月に香港の投資会社と「A&Fエビエーション社」を発足させた。今年度中に関西空港から第1便を飛ばす。