「うまくいくはず」という確証バイアス

こうした計画倒れはなぜ起きるのでしょうか?

『倒れない計画術』(メンタリストDaiGo著・河出書房新社刊)

その理由の1つは、私たちに備わっている「確証バイアス」にあります。確証バイアスとは、「こうあってほしい結論」を思い定めたとき、それに合致する情報だけを集め、合致しない情報は無視する傾向のこと。人が判断を誤る原因とされています。

確証バイアスの働きによって、防衛的ペシミストの人でもものごとの計画を立てるとき、「失敗」の可能性を考慮せず、「どうすればうまくいくか」にばかり目がいってしまうのです。

例えば旅行の計画を立てているとき、あの観光名所も回りたい、史跡も訪れたい、名物も食べたい、足湯にも入りたい、景勝地と有名な浜辺も歩きたい……と自分や家族の希望をすべてかなえようと1日の観光の段取りを立てたとしましょう。

タイムスケジュールは分刻み。それでも予定どおりに回ることができれば、全員満足の1日になるはず。我ながらよくできた段取りだと満足して迎えた旅行当日。

観光名所での待ち時間、移動時の事故渋滞、名物を買うための行列など、現地では立てた段取りを破壊するトラブルがいくつも起きます。分刻みのスケジュールは崩れ、計画どおりにものごとが運ばず、イライラ……。

つまずきによって「どうにでもなれ!」と投げ出すことに

確証バイアスが働くと、人は「こうあってほしい結論」ありきの理由を集めて計画を立ててしまいます。本来であれば「理由→結論」という判断をすべきところが、「結論→理由」の順番になってしまうのです。

その結果、段取りが崩れ、目指していたゴールにたどり着きそうもないと分かったとき、モチベーションが一気に下がり、投げ出したい気分になります。

これは心理学の世界で「どうにでもなれ効果(The What-The-Hell Effect)」と呼ばれるもの。かなり砕けた名称ですが、論文でも使われている用語です。

「どうにでもなれ効果」が発動すると、人は自分の立てた計画、段取りを放り出してしまいます。