古いAndroid端末はサマータイムに対応できない

またスマートフォンも大きな影響を受ける。スマートフォンは携帯電話網やGPSから正確な標準時間を受け取って現地時間に変換しているので、夏時間に対応するためにはOSの更新が必要だ。

このときiPhoneは夏時間に正しく対応できると考えられる。iPhoneは常にアップルが最新のOSを提供しており、その提供期間も十分に長い。執筆点で最新のOSである「iOS11」は、2013年9月発売の「iPhone 5s」までをサポートしている。アップルが長期間にわたって最新のOSを提供できるのは、ソフトウェア全体を自社で管理して、機種の数を絞り込んでいるからだ。

問題はキャリアブランドやメーカーブランドで販売されているアンドロイド(Android)の端末だ。これらは機種の数が多い上にキャリア毎に細かくカスタマイズされているためOS更新の提供時期がバラバラで、提供終了までの時間が短い。

夏時間に対応していないアンドロイド端末は、夏時間導入後も日本標準時で時刻を表示し続ける。無理に端末の時刻を2時間進めた場合、その端末から送られた電子メールは“2時間先の未来”から送られてきたことになって周囲に迷惑をかけてしまう。またスケジュールやファイルを管理するアプリでは、想定しない更新や上書き処理が行われてデータを失う可能性もある。

グーグルは2011年5月、18カ月間のOSアップデートを保証すると発表。シャープも今年5月に2年間の保証を発表した。しかし、いずれにしても5年近くOS更新を提供しているアップルとの差は大きい。キャリアやメーカーがOSを更新しないと、「tz database」を更新できないのでサマータイムに対応できない。

数兆円規模の費用と5年の期間を要する基幹システムの対応

通信や金融、流通、交通管制など、あらゆる分野の情報システムが時間を扱っている。サマータイムの対応には、あらゆる技術者が研修を受け、サマータイムへの移行や標準時への戻しといったテストを実施し、さらに不具合を修正した上で、システム連携テストを行うといった作業が必要になる。

日本銀行のレポート「コンピューター 2000年問題に関するわが国金融界の対応状況」の一部。金融機関の「2000年問題」対応費用は4552億円に上る

サマータイムと同様に時間の扱いを見直す必要のあった「2000年問題」は数年かけて計画的に対応した。日本銀行が1999年8月に発表したレポート「コンピューター 2000年問題に関するわが国金融界の対応状況」によると、その費用は金融機関だけで4552億円に上ったという。サマータイムの対応には全産業セクターで兆単位の費用と、最低でも4~5年の期間がかかると予想される。