三大生活習慣病のなかで、1つだけ薬を飲んで対策するとしたら私自身は降圧剤を選びます。

なにしろ、高齢化を背景に死因の第3位になった終末期の誤嚥性肺炎をのぞく、日本人の三大死因「がん、心血管疾患、脳血管疾患」のうち2つまでが「血管がらみ」なのです。結局、血管を守る血圧コントロールが一番のポイントです。

血圧も基準値がコロコロ見直されていますが、血糖値と同じくあまり厳格にこだわる必要はありません。私が医学生の頃は「血圧は年齢プラス90でコントロールする」と教わりました。40~50代なら140mmHgを降圧目標とすれば十分です。

また、血圧というと「上の血圧(収縮期血圧)」ばかりに目がいきますが、40~50代で「下の血圧(拡張期血圧)」が100mmHgを超えて高い場合は注意が必要です。ことに「別に肩こりも頭痛もないけど」という自覚症状ゼロの人が一番危ない。動脈硬化で血管ボロボロの可能性が高く、突然死予備群です。

▼中高年は気をつけたい。これが4つの急死原因だ!

中高年の突然死の原因で一番警戒すべきなのは本文で触れた「低血糖」、2番目は「脱水」です。少なくとも1日1リットルは水を飲むこと。特に就寝前は200cc飲みましょう。さもないと、明け方の最も“血液ドロドロ”の時間帯に「一過性脳虚血発作(TIA)」を起こします。朝起きて、片方の手だけがしびれたり、ちょっと舌がもつれることがありますね。昼頃に治って「あれは何だったんだ?」となる。答えはTIAで、繰り返すうちに脳梗塞で突然死です。

次は「過労」です。日帰り出張で今日は札幌、明日は大阪なんて飛び回っている人は気をつけてほしいですね。確かに移動時間は短くなりましたが、移動距離は昔と同じ。出先でばたっと逝くのはこのパターン。

4つ目はアルコール。飲酒後の入浴はことさら避けるべき。熱い湯の刺激で血圧が急上昇した後、皮膚表面が温まると今度は血管が広がり、血圧が一気に下がります。血圧の乱高下で肝心の脳や心臓に血液が届かず、行き着く先は突然死です。中高年はこれら「四大突然死要因」をよくよく胸に刻んでおくべきです。

富家 孝(ふけ・たかし)
1947年生まれ。大阪教育大附属高天王寺校舎、東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクターを務める一方、『不要なクスリ 無用な手術』など著書65冊以上。
 
(構成=医療ジャーナリスト・井手ゆきえ 撮影=大杉和広 写真=iStock.com)
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