サバの輸入量は減少し、輸出量が急増しているワケ

水産系缶詰のライバル、ツナ缶に使われる材料のカツオやビンナガ(ビンチョウマグロ)が不漁で価格が高騰したのと対照的に、安定した水揚げにより値が上がっていないことも、サバ缶の生産量がツナ缶を抜いた大きな要因といえる。

ここ10年で大きく変わったことがもうひとつある。サバの輸入量の減少と輸出量の急増だ。

日本の2000年の輸出量は2300トンだったのに、2017年は23万トン。なんと100倍になったのだ。サバ全水揚げは年間50万トン、その半分近くを輸出していることになる。

日本近海で獲れたサバの6割をアフリカへ輸出する理由

この日本近海で獲れたサバがどこに輸出されているか、ご存じだろうか。実はナイジェリアを筆頭にエジプト、ガーナなど約6割がアフリカ諸国なのだ。

アフリカ周辺の海域にもサバは生息している。しかし、総じて貧しいアフリカ諸国。大型漁船も、獲る技術も、製氷設備も加工設備もないため、魚は輸入に頼らざるを得ない。

水産物輸出コンサルタントの原亮一さんに聞いた。

「自国が植民地だった時代もあり、アフリカは主にかつての宗主国である欧州からサバを輸入していました。しかし、近年、欧州は資源保護のため漁業管理の強化にのりだしました。限りある資源である魚の獲り過ぎを防ぐために、漁獲量を制限、各漁船の漁獲上限量を決めたのです。漁業者にしてみれば、獲ることが可能な量が決まっているならば、わざわざ安い小さなサバを獲るよりも、高く売れる脂ののった大きなサイズを狙って獲ったほうがトクです。よって欧州の漁業者は小さなサイズの魚を獲らなくなったのです」