猛暑は家計消費全体にとっては押し上げ要因

そこで、過去の気象の変化が家計消費全体にどのような影響を及ぼしたのかを見てみよう。内閣府『国民経済計算』を用いて、7~9月期の実質家計消費の前年比と全国平均の気温や日照時間との前年差の関係を見た(図表2)。すると、両者の関係は驚くほど連動性があり、7~9月期は気温上昇や日照時間が増加したときに、実質家計消費が増加するケースが多いことがわかる。

従って、単純に7~9月期の家計消費と気温や日照時間の関係だけを見れば、猛暑は家計消費全体にとっては押し上げ要因として作用することが示唆される。

過去最高の「猛暑効果」が出現する可能性がある

ただし、家計消費は所得や過去の消費などの要因にも大きく左右される。そこで、国民経済計算のデータを用いて、気象要因も含んだ7~9月期の家計消費関数を推計してみた。すると、過去20年のデータに基づけば、7~9月期の日照時間が全国平均で10%増加すると、同時期の家計消費支出が0.51%程度押し上げられる関係がある。これを気温に換算すれば、7~9月期の平均気温が全国平均で摂氏1度上昇すると、同時期の日照時間が10.5%増加する関係があることから、家計消費支出を約3186億円(+0.54%)程度押し上げることになる。

この関係を用いて今年7~9月期の全国平均気温が2010年と同程度となった場合の影響を試算すると、日照時間が平年比で17.1%増加することにより、今年7~9月期の家計消費は、平年に比べて5196億円(+0.9%)程度押し上げられることになる。

また、家計消費が増加すると、同時に輸入の増加ももたらす。このため、こうした影響も考慮し、最終的に猛暑が実質GDPに及ぼす影響を試算すれば、2010年並みとなった場合は、3168億円(+0.24%)ほど実質GDPを押し上げることになる。

つまり、今年は記録的に最も暑かった2010年を超えると予想されていることからすると、これを上回る過去最高の猛暑効果が出現する可能性がある。