1 コリン・パウエル
時代遅れの習慣を捨てさせよ

スケジュール管理を合理化するには、形骸化した習慣を見直すことが大事である。世界最強の米軍でも事情は同じ。陸海空軍・海兵隊4軍の制服組トップである統合参謀本部議長を務めたコリン・パウエル氏は次のように述べる。

コリン・パウエル氏(撮影=小倉和徳)

1960年代初頭、デイビッド・シャウプ将軍という海兵隊司令官がいた。そのころすでに時代遅れになっていたのだが、当時はまだ、将官が短いステッキや乗馬用のむちを持ち歩いていた。英国植民地時代の名残である。第2次世界大戦を描いた映画には短いステッキを持つ英国士官が出てくるし、英連邦諸国ではいまだに利用されていたりするようだ。私も、若いころには持っていた。宝物だった。57年夏の予備役将校訓練隊で私の教練担当だったアーティス・ウェストベリー軍曹がくれたもので、私はいつも持ち歩き、なにかを指し示したり自分の足の横をたたくのに使っていた。

そのころ陸軍では短ステッキを持ち歩く人が少なくなりつつあったが、海兵隊にはこの伝統が根強く残っていた。これを廃止すべきだと考えたのがシャウプ将軍だ。司令官なのだから、ばかげたことは禁止だと命令を出せばすむ。しかしシャウプ将軍は、少々違う戦術を採用した。「必要だと思う士官には短ステッキの携帯を許可する」という指示を出したのだ。

翌日、ステッキは消えていた。この1行を思いついたとき、彼は大笑いしたのではないかと思う。「短ステッキなんか無用だ」――そう海兵隊員たちが思うとわかっていたのだ。

どの組織にも、その文化に深く根ざした「短ステッキ」が存在する。やめさせることもできるが、それが時代遅れだとわからせる方法を見つけ、廃れさせることも難しくない場合が多いし、そのほうが、皆が支持してくれるし喜んでもくれる。