5800万円新築4LDKが「地獄の入り口」だった

子どもを愛する親心は、お金の判断力をも曇らせる。

第2子誕生を機に、5800万円で新築マンションを購入した藤田さん夫妻。子ども2人がのびのび暮らせる4LDKは念願だった。

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それから6年。可処分所得は年々減り、月々18万円という高額の住居費に藤田家の家計は悲鳴を上げたのだ。手取り月収に占める住居費は25%までが理想。多くても30%以内に収めるべきとされる。だが藤田家は40%にも達しており、明らかに危険水域。毎月の赤字をボーナスで補填する状況下では、繰り上げ返済もままならない。「あと30年も払い続けるのは、私には無理です」と藤田さんは絞り出すような声で言った。

ひるがえって住居費以外の費目を見るならば、おおむね堅実と言える家計バランスなのである。専業主婦である妻がコツコツ家計簿をつけており、食費は6万円、教育費は3万円と特別贅沢はしていない。子ども2人は公立小学校に通わせており、今のところ中学受験は考えていない。それなのになぜ、こうなったのか。子どもを広い家でのびのびと育てたいと考えた親心が邪魔をしたのだ。子どもはやがて巣立つ。4LDKは明らかにすぎた買い物だ。「子どものためにと無理をしすぎた。返済シミュレーションを怠った」と藤田さんは肩を落とすばかりだ。

藤田家の家計を再生させるポイントは、一にも二にも住居費の圧縮にある。ただちに住宅ローンの借り換えに踏み切った。6年前に借りたのは固定金利2.8%の35年ローン(フラット35)。東日本大震災の影響で金利が上昇した時期のことだ。

しかし2016年1月のマイナス金利以降、住宅ローンは超低金利時代に突入している。このメリットを享受しない手はない。仮に、金利1.2%の住宅ローンに借り換えれば月2万6000円のメリットが出る。意外と知られていないが、フラット35からフラット35への借り換えも可能だ。藤田さんの場合はローン残高が3400万円ほどあるので借り換え費用に80万円ほどかかるにせよ、支払い総額は850万円も減る計算だ。

また、借り換えであっても「住宅ローン控除」は引き続き受けられる。これは、住宅ローンを借りてから10年間、年末ローン残高の1%が所得税から控除され、確定申告によって戻ってくるもの(新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど、一定の要件あり)。忘れず利用したい。