人気お笑い芸人のサンドウィッチマンが、東日本大震災の支援活動を続けている。宮城県出身の2人は、震災当日、気仙沼市のカフェでテレビ番組の収録をしており、警報を聞いて高台に避難した。支援活動の背景には、そのときの衝撃があるという。今、そのカフェは復興し、運営会社は店舗数を震災前の倍に増やしている。なぜ被害から立ち直れたのか――。
津波被害から立ち直り、リニューアルしたアンカーコーヒー マザーポート店(オノデラコーポレーション提供)

3月11日で東日本大震災から7年。宮城県内の被災地を歩くと「都会では、もう復興したと思われている」という声も聞くが、当地の厳しい現状は続いている。数字で紹介すると、水産庁が2016年11月から2017年1月に行ったアンケート調査では、5県(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県)全体で売上が8割以上回復した水産加工業は47%にとどまった。それ以外の業種も復興への道半ばだ。

だが、そんな中でも業績を拡大させた会社はある。宮城県気仙沼市でカフェ事業を手がける「アンカーグループ」もその1つだ。「3.11」では、市内の2つの直営店が津波の被害を受けた。今回は同社のカフェを紹介しながら、被災地の思いを伝えたい。

気仙沼を「母港」に錨をおろす店

「2016年8月にプロ野球・東北楽天イーグルスの本拠地球場『楽天生命パーク宮城』のスマイルグリコパークにも、『マザーポートコーヒー』を出店しました。これからの季節は特に、観覧車の見えるオープンテラスで自家焙煎コーヒーをお楽しみいただけます」

店を運営する、オノデラコーポレーション専務(コーヒー事業部責任者)の小野寺靖忠氏はこう話す。同社はカフェの店名に、それぞれ次の思いを込めた。

グループ名の「アンカー」とは、船が停泊時に降ろす錨(いかり)という意味だ。気仙沼市外で以前から展開する北古川(宮城県大崎市)、佐沼(同登米市)、岩手川崎(岩手県一関市)の店は、「フルセイルコーヒー」(満帆の船の意味)の名で運営する。開業10周年を機に本店を「アンカーコーヒー マザーポート店」に変え、それ以降にオープンした店名は「マザーポートコーヒー」とした。こちらは、お客さんの“母港”になりたい思いからだ。東京・赤坂には「コーネルコーヒー」という店もあり、コーヒー好きに向けてさまざまなイベントを開催している。