プレジデント誌の好評連載「悩み事の出口」。ライフネット生命の創業者で、立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんが、読者の悩みに答えます。今回のお題は「定年後に打ち込めることがなさそう」。出口さんは「一生働き続けて」といいます――。

Q:定年後、仕事以上に打ち込めることがなさそうです

定年のない仕事を探してみるのはどうでしょう。ちなみにライフネット生命には定年がありません。

最近は一生働くために、50代で資格を取る人も増えていますよね。

写真=iStock.com/Wavebreakmedia
――やはりずっと働き続けたほうが元気で若々しくいられるのでしょうか。

定年で仕事をしなくなると外出も減って人と触れ合わなくなる。その結果心身ともに元気でなくなってしまうのだと思います。

日本はもっと、高齢者に働いてもらったらいい。

――ご老体には酷なのでは?

北欧の老人ホームでは、毎朝、ケアマネジャーが入居者を起こしにいき、部屋の外に出た後は部屋に鍵をかけてしまうのです。入居者は晩御飯が終わるまで自分の部屋に入れなくなる。そうなれば、町へ出ていくしかないでしょう。

結果、散歩をするから足腰が鍛えられます。日本のようにいつでも部屋に戻れるようにしていたら、テレビを観て寝るだけの生活になってしまい足腰は弱るばかり。高齢者に楽をさせたらいけないのです。

――北欧に寝たきり老人はいないんですか?

はい、先進国にはほぼいません。健康のまま日常生活を送れる「健康寿命」が長いのです。生きている間は自由に好きなことのために動き回り、最期は神様に任せる。それが理想的な人生だと考えているのです。