ドラッグストア業界は、少子高齢化などで国内需要が先細る日本で、毎年成長を続ける数少ない小売市場だ。2016年度の市場規模は前年度比5.9%増の6兆4916億円。百貨店の市場規模を上回り、コンビニを猛追している。

好調の理由は一言でいうと規制があるからだ。医薬品は販売するために薬剤師など専門知識を有する人材が必要で、化粧品も参入障壁がある。誰でも参入できる業界ではなく、コンビニやスーパーのような自由競争の市場とは環境が違う。

さらに、利益率の高い医薬品や化粧品で稼げるので、食料品や日用品では儲けられなくても問題はない。客寄せやついで買いの客をひきつけられればそれでよいため、そのぶん価格も安い。競合であるコンビニやスーパーからすれば、武器を持った相手と素手で戦うような状況なのだ。

ここ5、6年では調剤事業が伸びている。調剤は8兆円近い大きな市場で、まだドラッグストアが占めているのは7~8%ほど。そのシェアはさらに高まると見られ、ドラッグストア市場は今後も成長を続ける余地がある。

個別に見ていくと、マツモトキヨシは駅前型の高効率の店舗を多く持っていたが、都心では新規出店が難しくなり、郊外に進出。都心とはノウハウが違い苦戦していたが、現在は体制を立て直しつつある。

一方でウエルシアは、M&Aを積極的に仕掛け、2016年度は連結売上高でマツキヨを抜き、業界トップに立った。調剤薬局を併設しており、専門性が高いことが特徴だ。

面白いのはコスモス薬品。九州を中心に、主に西日本で展開するドラッグストアだが、とにかく食料品など必需品の売価が安い。現状、調剤は行わず、食料品だけで売り上げの半分を超える。ドラッグストアというよりは、日本最強のディスカウントストアといえるだろう。

(構成=衣谷 康)
【関連記事】
絶対王者"マツキヨ"が3位に転落したワケ
富裕層に見放された大塚家具のたどる末路
アパレル市場の"3分の1"が消滅した理由
総合商社が"不要論"を乗り越えられた理由
ドラッグストアが「儲からないマスク」を取り揃えるワケ