小池百合子・東京都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」が、7月2日の都議選に圧勝した。今後の焦点は、小池氏が新党を結党し、自ら首相に就くことを目指すかどうか。ジャーナリストの沙鴎一歩氏が、各紙の報道からその可能性を探る――。
2017年東京都議会選挙 「都民ファースト」が圧勝(写真=つのだよしお/アフロ)

「安倍1強」のゆがみを示す出来事

小池百合子・東京都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」が、7月2日に投開票された都議選に圧勝した。その結果、今後の最大の焦点は小池氏が新党を結党し、自ら首相に就くことを目指すかどうかに移る。

仮にそうなれば、初の女性都知事が初の女性首相となるわけだ。しかし、選挙翌日の3日付の新聞各紙の社説をいくら読んでもそのことに触れている社説はなかった。残念である。

3日付の朝日新聞の社説は大ききな1本作りで「都議選、自民大敗」「政権のおごりへの審判だ」との見出しを掲げ、次のように書き出す。

「東京都議選は自民党の歴史的な大敗に終わった」「小池百合子都知事への期待が大きな風を巻き起こしたことは間違いない。ただ自民党の敗北はそれだけでは説明できない。安倍政権のおごりと慢心に『NO』を告げる、有権者の審判と見るほかない」「『安倍1強』のゆがみを示す出来事は枚挙にいとまがない」

「こんな人たちには負けられない」

朝日得意の安倍政権批判である。社説の文中、朝日社説はこうも批判する。

「次々にあらわになる『1強』のひずみに、報道各社の世論調査で内閣支持率が急落すると、首相は記者会見などで『反省』を口にした。しかしその後も、指摘された問題について正面から答えようとはしない」「首相と民意のズレを象徴したのは、都議選最終日のJR秋葉原駅前での首相の演説だ」「聴衆から首相への『辞めろ』コールがわき上がると、首相は『こんな人たちに負けるわけにはいかない』と声を張り上げた。首相にすれば、ごく一部の批判派による妨害だと考えたのだろう。だが都議選の結果は、首相の政権運営に対する『NO』の声は、決して一部にとどまらない現実を物語る」

もし安倍首相がこの社説の痛烈な文言を読んだら、顔が一瞬にして青ざめていくだろう。

さらに朝日社説は「これまで衆参両院の選挙に勝ち続けてきたことが、首相の力の源になってきた。地方選とはいえ、首都である都議選での大敗は、今後の首相の政権運営に影を落とすのは間違いない」

「来年9月の党総裁選、同年12月に任期満了を迎える衆院議員の選挙、さらには首相が旗を振る憲法改正への影響は避けられないだろう」と書く。

この後、「小池新党」に触れるのかと思いきや、違った。