仙谷由人官房副長官が「“第二の後藤新平”を目指している」(民主党幹部)という。同氏は「自衛隊は暴力装置」などの発言により昨年11月に参院で問責決議を受け、今年1月に官房長官を辞任したが、東日本大震災を受けて3月17日に官房副長官として官邸に復帰した。

「仙谷氏はキャリア官僚出身の古川元久、松井孝治の両元官房副長官や危機管理に詳しい長島昭久前防衛政務官らを集め“仙谷チーム”を結成。仙谷チームを動かして原発事故対策以外の復興対策を取り仕切っている。仙谷氏は各省庁の事務次官と会合を持ち、官僚と連携して官僚機構を動かしている。“陰の総理”の復活です」(全国紙官邸詰め記者)

その仙谷氏が目指しているとされるのが関東大震災で復興計画を立案した元内務大臣・後藤新平だ。後藤は関東大震災翌日に救援・復興の責任者の内務大臣に就任するや、その日のうちに東京の下町地区の区画整理や幹線道路建設などの東京復興計画を立案。震災1カ月後には「帝都復興院」を立ち上げ、その総裁として復興を指揮した。

菅政権は、帝都復興院を参考に復興庁と震災復興大臣を新設する構えで、菅総理は大連立含みで自民党の谷垣禎一総裁に担当大臣就任を打診して断られたが、「野党が受けない場合は仙谷氏が大臣になる公算が大きい」(前出記者)という。

仙谷氏と後藤には共通点もある。医師出身で厚生行政に詳しかった後藤に対し仙谷氏も、自分が胃がんの手術を受けたこともあり厚生行政に精通。東日本大震災の被災者の治療や原発の放射能被曝に関する医療対策なども仙谷氏が仕切る。

弁護士出身の仙谷氏が特に力を入れているのが、復興に向けた法整備。「阪神・淡路大震災では10本以上の立法措置が組まれたが、瓦礫除去の費用の半分を自治体が負担するなど、今回の大震災に適用できない法律もあり、仙谷氏は関係省庁に法律の見直しを急がせている」(前出幹部)

今回の震災被害は16兆~25兆円とされ、巨大な復興予算を握る担当大臣の権限は絶大だ。「ゼネコンに強い小沢一郎元民主党代表や自民党の建設族議員も新ポストに色気を見せている」(同)といい、その人選に注目が集まっている。