実直さを感じさせる稀勢の里ですが、口数が少なく、表情が変わらない人と実際に付き合うのは大変です。「何を考えているのだろう」「何も言わないけど、嫌われているのだろうか」──そんなふうに受け取って、不安になってしまいがち。それが先輩だったらなおさら困りものです。そんな稀勢の里タイプの先輩にどう対応すればいいのでしょうか。

土俵入りする横綱稀勢の里(写真=時事通信フォト)

まず、稀勢の里のようなタイプを、6眼心理テストの考え方で分析してみましょう。6眼とは、現実をどう捉えているかについて、主体/客体、アナログ/デジタル、未来志向/過去志向の6つの傾向からその人を分析する枠組みです。簡単に説明すると、主体は自分の価値観を、客体は周りの価値観を重視する傾向。アナログは感覚で、デジタルは理論で物事を捉えます。未来志向は夢やポテンシャルの大きさを大切にし、過去志向は、前例や伝統、確実性を大切にします。これらの傾向が組み合わされて、人は物事を判断します。

なぜ無理に会話しなくてもいいのか

稀勢の里は、主体志向で、アナログとデジタルのバランスがとれた、過去志向タイプの人間だと考えられます。強い意志で相撲というスポーツに主体的に取り組み、感情を荒立てることなく理屈っぽくもなく抑制されていて、これまでの稽古の積み重ねを大切にしています。社会にあまりいないタイプですが、アスリートには向いています。地道にコツコツ頑張る人なので、キャリアは大器晩成型。出世は早くないが上層部に一目おかれている先輩などは、稀勢の里タイプの可能性がありますね。

このタイプには次のような特徴があります。時間やルールをしっかり守る。自分にも他人にも厳しい。単独行動を好み、馴れ合いは好まない。地味な作業でも、黙々と頑張る。そんな寡黙ながら厳しい先輩とどう付き合えばいいのかは、悩ましいところです。しかし、一言で言ってしまえば、無理に会話でコミュニケーションをとる必要はありません。

信用されるには半年ほどは必要

最初に、稀勢の里タイプの先輩に信用されるには、時間がかかると覚悟してください。まずはとにかくルールを守り、キッチリと仕事し続けることです。自己アピールしたり、会話でコミュニケーションをとるよりも、行動で「ちゃんとしたヤツだな」と思わせれば、いつの間にか信頼関係ができあがるのです。そのためには、3カ月から半年ほどは必要です。このタイプは、相手とマメに協調しようとする客体傾向の人や、とにかく大きなビジョンを示したい未来志向の人とは相性が悪い。新しいことを提案しても却下されることもしばしばです。また、コミュニケーションが得意だと思っている人ほど敬遠されがち。相手は何も言いませんが、派手な服装や軽薄な話しぶりで、第一印象で失敗しているかもしれません。

自分のやり方を押し通すのではなく、郷に入れば郷に従えの意識を持ちましょう。長く付き合うのは辛いですが、1つの部署で1~2年なら、キチンと始末をつけられる先輩と付き合うのはいい勉強になります。自分の持っていないものを持っている人から得るものは多いはずです。