「手あて」は人類最古の治療法

「手あて」という言葉があります。辞書には、病気やけがの処置をすることとあります。ふだん何気なく使っている言葉ですが、この言葉には医学の起源があらわされています。というのは、医学における病気やけがの治療は、患部に手をあてることからはじまったからです。

わたしたちは、手や足をかたいものにぶつけると、思わず痛いところを手でさすります。お腹が痛くなると、やはり手でお腹をさすります。あたまが痛くなると、これもまた、痛みを感じるところに手をあてます。

痛いところに手をあてる。この動作を意識して行っている人は、ほとんどいないと思います。誰から教わったわけでもないのに、誰もが同じようにそうしてしまうのは、痛みを手でやわらげようとするのは人間の本能から生まれる動作だからです。

おそらく、医学という学問が体系化する以前から、それこそ人類が薬草を発見する前のはるか大昔から、わたしたち人間は、いまの人たちと同じように痛いところを手でさすっていたと思われます。そして、さするだけでなく、もんだり、押したりすることでも、痛みや不快な症状がやわらぐことを学んできたのだと思います。

手でさするという原始的な方法から、どこの段階で、もむ、押すといった方法が枝分かれしたのかわかりませんが、少なくとも3000年以上前から、手を使った治療法がはじまったことはわかっています。そのことは、殷の遺跡の象形文字によって、書き残されています。つまり、手で症状をやわらげる方法は、人類が考えだした、もっとも古い治療法なのです。

以降、手を使った治療法は、進化と発展を繰り返しながら中国の社会にしっかり根を下ろしてきました。てなでる手法(摩法)、もむ手法(揉法)、押し動かす手法(推法)などです。どの手技治療も、基本となる考えは、自分のからだは自分で治す、ということです。

中国には、古くから「病気は自分でつくったものだから、自分で治すもの」という文化がありました。この文化は、いまも深く浸透していて、わたしが知る限りでも、何百人もの人が、セルフケアによって病気を克服し、健康を取り戻すことに成功しています。手技治療がはじまった歴史を考えると、数えきれないくらいの人が自力で病気から回復し、健康的な一生を送られたのだと思います。

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