特定の年代が住宅を高値づかみしている

戦後の日本では、1950年代から90年代初めまで地価はずっと右肩上がりが続き、逆に90年代初めのバブル崩壊後は、首都圏で10年以上、地方では20年以上も下がり続けました。

しかし2000年代に入ると東京都心を中心に地価の反転上昇が見られるなど、「上がることもあれば下がることもある」という、ごく当たり前の資産になってきました。

ここで押さえておきたいのは、「不動産価格の上昇と下落には、一定の周期性(マーケット・サイクル)がある」という事実です。

日本の地価の対前年比の増減率を追ってみると、60年代初めの高度成長期、74年前後の列島改造論ブーム、80年代末のバブル期、そして05年前後と、右肩上がりで上昇していた時期を含め、ほぼ15年周期で4回の地価上昇率のピークが見られます。

一方、住宅の購入は、主に各人のライフサイクルに合わせて行われます。

多くの人は20代後半から30代半ばにかけて家庭を持ち、子供が生まれたら「そろそろ自宅を買おうか」と考え始めます。最近は40代で家を買う人も増えていますが、定年までに住宅ローンの返済を終えようと考えると、40代前半が限界です。従って32~33歳から40代前半あたりが「住宅購入適齢期」となってきます。

不動産マーケットにサイクルがある中で、家を買う年齢がほぼ一定であるということは、「特定の世代が住宅を高値づかみしている」ことを意味します。不動産バブルのピークには、主に1950年代生まれの世代が持ち家を購入していますが、この世代の人たちはその後のバブル崩壊によって住宅価格が暴落、大損する結果になりました。

それは自分のライフサイクルのみを考え、不動産マーケットのサイクルが念頭になかった結果だといえます。