古来、勉強には独学というやり方がある。しかし「意志薄弱な自分には無理」と思い込み、敬遠する人が少なくない。普通の人が、学校や先生の助けを借りずに満足のいく結果を出すことはできるのか。高校・大学時代を独学で過ごし、東大教授になった柳川氏は「心配ご無用」と太鼓判を押す。その理由とは?
「唯一の正解」を学ぶだけではダメ
いまでこそ大学で学生に教える仕事をしていますが、私は中学校卒業以来、大学院に入るまで「学校」へ通ったことがありません。高校生に当たる時期には、父の仕事の関係でブラジルに住んでいたこともあり、日本から取り寄せた教科書と参考書で自習していました。その後、大学入学資格検定(大検)に合格すると、今度は慶應義塾大学経済学部の通信教育課程を受講しました。
そんなわけで、東京大学大学院に入学して伊藤元重教授(現学習院大学教授)のもとへ通うようになるまで、私にとって、勉強とはほとんどが独学を意味しました。でも、それで何の不都合もなかったばかりか、いま振り返ると、独学こそ現代人にふさわしい勉強法だと思っています。
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