意志の強い人しか独学に向かないか?

本の読み方にも触れておきましょう。新しい分野を学ぶ際は、入門書を3冊買ってください。それで最初に全体を俯瞰してから、そこで紹介されている論文や資料に芋づる式に当たっていくと、比較的楽に理解することができます。

それから、同じ本を2回読むこと。1回目はざっと目を通し、そこに書かれていることをひととおり頭に入れます。それができたら今度は「逆のケースで考えたらどうだろうか」「この部分は前の記述と矛盾しないか」というように、内容を疑ったり批判したりしながら読むのです。本はそういうふうに読んで、はじめて理解が深まるのです。

読み進む際には、要点に傍線を引いたり、ノートやメモを取ったりしないのがポイントです。要点を抜き書きしてきれいにまとめると、いかにも勉強した気になりますが、実際は書くことで安心して、記憶が薄れてしまうのです。それに、本当に重要なことは、勉強していると何度も出てくるので、書かなくても自然と頭に定着します。反対に、書かなければ覚えられないのであれば、そこは覚える必要がないのです。

柳川流・独学を極めるための4カ条

このように、独学はいいことずくめの勉強法なのですが、私がこういうと「自分は意志が弱いので独学には向いていません」という人がときどきいます。

でも、安心してください。私もかなりの怠け者です。それでも独学は務まりました。なぜなら、自分で立てた目標の3割でも実現できればいい、と割り切っていたからです。だいたい、決めたら必ず最後までやりとおす人は、めったにいません。人間はつい怠けたり、ときどきやる気が出なくなったりするのが普通なのです。独学で大事なのはやり続けること。だから、3割できれば上等なのであって、それくらいの気持ちで取り組めばいいのです。

(構成=山口雅之 撮影=永井 浩)
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