仲間や先生がいればなおよし

独学というと、1人で机に向かって黙々と本を読むといった孤高の作業をイメージする人が多いかもしれませんが、私のいう独学は、必ずしもそういうスタイルを指すものではありません。自分でテーマを決め、自分でプランニングをして主体的に学んでいくという意味での独学です。

だから、必ずしも1人でなければならないということではありません。むしろ、情報交換ができて刺激にもなる仲間はいたほうがいいし、先生にべったり依存するのでなければ先生がいてもいいのです。ちなみに私は、大学の通信教育課程の参考書となっていた『国際貿易』の著者である伊藤元重先生の授業に潜り込み、質問をしたのがきっかけで、伊藤ゼミにも参加させてもらっていました。

ところで、独学が優れていると思う一番の理由は、自分のペースで勉強ができるという点です。とくに社会人の場合は仕事があるので、学校に通って勉強しようにも、その時間を捻出するのが難しいと思います。その点独学なら、時間と場所を選びません。仮に勉強にあてられるのは1週間に1時間が精いっぱいだとしても、1年間続ければ53時間になります。もし何もやらなければゼロ。この差は決して小さくないのです。

自分と相性のいい教材を選べるというのも、独学のメリットでしょう。どの著者の書き方を理解しやすいと感じるかは人それぞれ。名著といわれる本でも、説明や論旨の展開がその人の理解のパターンに合っていないと、いくらがんばって読んでもなかなか頭に入ってきません。学校だと全員が同じ教材で勉強させられるので、合わない人は悲劇ですが、独学なら相性のいい本で、効率よく勉強することができます。