いくら優秀な商社マンでも万能ではない

同じ中途採用でも役員クラスになると、報酬額も2000万~3000万円に跳ね上がります。

大手ヘッドハンティング会社の社長は「以前は日本の大手企業の事業部長クラスが外資系や中堅企業の役員にスカウトされることが多かったのですが、最近はグローバル展開もあって外資系企業の役員経験者が日本企業の役員としてスカウトされるケースが増えている」と言います。

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

外資系の役員にスカウトされる人の報酬額は基本年俸が3000万円、業績見合いで5000万円というのが一般的だそうです。ではどんな人がスカウトされるのでしょうか。外資系消費財メーカーの人事部長はこう言います。

「もちろん前の会社の担当部門でどれだけの売り上げや利益を上げたのかという実績をチェックします。それからコミュニケーション能力と“人と時間”のマネジメント力の有無も厳しくチェックします。英語はできて当然です。世界各国の役員と渡り合える交渉力と様々な外国人をまとめ上げる力があるのかを見ています。でも日本企業でそれができるのは総合商社出身者ぐらいでしょうか」

外資系企業に限らず、日本企業でも英語ができて営業力のある総合商社出身者の人気が高いようです。でもいくら優秀な商社マンでも万能ではありません。副社長でスカウトしようとしたところ、最終的に役員会議で却下された人もいます。自動車関連会社の人事部長がこう言います。

「その人は総合商社の同期のトップでヨーロッパ支店長に赴任し、花形部署の自動車部門の副部門長を経験した人です。年齢も48歳と若いので適任と思い役員会議に推薦しました。ところが経歴書を見た役員から『ヨーロッパ支店長といっても現地の代理店を集めて売ってもらうだけのルートセールスしかしていないじゃないか。店頭での販売や販売会社との厳しい交渉もしていないし、うちでは使いものにならない』と、けんもほろろでした」

誰もが羨む一流企業のエリート部署の出世頭でも、畑が違えば“売れない人材”となるのも現実です。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。