手足となって動いてくれる部下がかわいい

課長、部長と昇進していくにはもちろん業績がよく、マネジメント能力も高いこともさることながら、上司との関係も重要です。そもそも人事部に推薦するのは上司であり、人事権を持つ上司と良好な関係を築いていなければ、昇進候補者として審査の対象にもなりません。

出世コースをすいすいと泳いでいく人がいますが、そうした社員に共通するのは、そつがなく上司との関係を保つのがうまい人です。ただし、上司にもいろんなタイプがいます。やたらとゴマをすり、忠犬のようにすり寄る人がいますが、近づきすぎると逆に煙たがれることがあります。

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

製薬会社の人事部長はこう指摘します。

「上司におべんちゃらを言うだけの茶坊主はせいぜい課長止まり。部長、事業部長に昇進するタイプは、上司との距離を適度に保ちつつ、付かず離れずの立ち位置を維持する。そして大事なことは、目障りにならないようにさりげなく接する。いかにも出世したいというそぶりは見せず、飲みに誘われたら、万障繰り合わせて参加する人です。これは昔も今も変わらない出世するタイプに共通する資質です」

要は「さりげなさ」が大事であり、自然体で接し、飲み会などプライベートな誘いを受けた場合は即座に対応できる人です。それでいて上司の行動をチェックし「上司が今何を考えているのか、何に困っているかを察知し、手を差し伸べてくれるような側用人のようなタイプが出世している」(製薬会社人事部長)のです。

逆に優秀で、高い成果を上げていても、馬が合わない上司に対抗意識を剥きだしにするようなタイプがいます。会社にとっては貴重な人材かもしれませんが「上司は自分の地位を脅かす存在として排除しようとします。そうではなく仕事の実務面で頼りになるという存在感を示し、本人の手柄であっても、さりげなく上司の手柄という形に持っていけるタイプが好まれる」(ゼネコン人事部長)と言います。

上司も普通の人間です。手足となって動いてくれる部下がかわいいのです。もちろん、歯に衣着せず自分の意見を堂々と吐くタイプを評価する懐の深い上司もいますが、日本の企業ではまだ少数派でしょう。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。