なぜ、“仮面イクボス“は減らないのか?

女性の活躍推進を阻む要因をつき詰めていくと、

・「いつでも、どこでも、いつまでも」という働き方が求められる職場
・金太郎飴のような同質的な価値観に慣れ親しんだ職場の存在

が明らかになります。

この阻害要因をクリアしようとしたとき、長年そうした環境で違和感なく働いてきた、男性管理職の意識の変革が必要との指摘は以前からありました。

最近では、企業のなかでも男性管理職の意識を問題視し、「イクボス*」を増やすために、研修などを通じて意識啓発活動に励む企業も出てきています(*部下の仕事と生活の両立に配慮しながらキャリアを支援し、自身も仕事と生活を充実させる経営者や管理職)

しかし、そのような企業でも、男性管理職の意識や行動の変革が難しいことを筆者自身が数多く耳にしています。

日本総合研究所では、従業員数300人を超える企業の東京の事業所で働く40~59歳の男性管理職約500人を対象に調査(以下、アンケート調査)を行いました。

そこでは、約9割の男性管理職が女性の積極的登用には理解を示しながらも、女性の積極登用の足かせとなる長時間労働に対する意識が未だに変わっていないなど、意識のギャップがあることが明らかになっています。

本稿では、複数企業の男性管理職へのヒアリング結果も参考にしながら、“仮面イクボス”が減らない理由を分析します。

▼女性登用に賛成しつつも変わらない男性管理職の意識とは

女性登用に賛成しつつも変わらない男性管理職の意識として、

(1)長時間労働の許容意識
(2)固定的な役割分担(育児)への理解
(3)女性部下に対する苦手意識

という3つを取り上げます。