男性管理職「(女性も)長時間労働は当たり前」が本音?

【(1)男性管理職の意識:旧態依然として長時間労働を許容】

アンケート調査結果では、自身の昇進のためには、「定時以降に上司から依頼された仕事を行うことや、会議に出席することを仕方がない」と回答した男性管理職は全体の約6割、女性の登用に賛成している男性管理職においても、この傾向は変わりません(図表1)。

筆者が行ったヒアリングでは、「昇進のためには成果が必要で、長時間労働が求められているわけではない」という意見もあったものの、「常時ではないが、時には責任を持って対応しなくてはいけないときがある」といった意見をはじめ、締め切りの厳守や現場の人手不足感を指摘する意見も寄せられました。

結局のところ、会社や仕事の都合を優先し、責任感を持って仕事をこなすことで長時間労働になっていることは否定できません。こうした事実は、家事・育児などとの両立を目指す女性社員にとっては「障壁」となるのは確実です。

そこで、男性管理職に今後、長時間労働を改善していくために必要なことを尋ねたところ、

「働きやすい制度を充実させても、そのようなルールよりも周囲(特に人事評価を行う上司)の価値観が優先される風土を変えることが必要」

「時間内にアウトプットを出せるようタイムマネジメントし、残業なく仕事を終える人が評価されるべき」

という意見も寄せられました。会社の「仕組み」が変わらない限りは、男性管理職は長時間労働を甘んじて受け入れるということなのかもしれません。

仕事量や繁忙のリズムを改善するという業務特有の事情の問題解決と併せて、人事評価制度の在り方や男性管理職(その上司含め)のワーク・ライフ・バランスへの意識啓発には未だに改善の余地があるといえます。