突如発表されたTOEICテストの「出題形式大変更」。学習者にとっては青天の霹靂だろう。改訂のポイントや受験者への影響、新形式の傾向と対策を、TOEIC界のカリスマに聞いてみた。

現場に対応したリアルな試験に

2015年11月、日本におけるTOEIC実施団体である国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)から突如、出題形式変更のリリースが発表された。新形式が導入されるのは、2016年5月29日の公開テストから。これまで現行の形式に合わせて、必死にTOEIC対策を講じてきた学習者にとっては一大事だ。

改訂のポイントをひと言でいうと、「より実践的でリアルな英語に近づいた」ということだろう。リスニングでは、これまで2人だけの会話だったところが3人に増えたり、従来は出題されなかった口語的な短縮形が用いられたりするようになる。リーディングでは、従来の単語や句だけでなく一つの文を空欄に埋める設問が加わったり、パッセージにオンラインのチャットが使われたりするようになる。そして、リスニングとリーディング双方において、会話や文章全体のメッセージを深く理解する能力が求められるようになった。

改訂の背景について、TOEIC開発機関であるETS(米国)は、日々進化、変化する英語の使い方に合わせ、受験者が必要とする英語のスキルを確実に測定するテストにするためとしている。元商社マンで国際ビジネスの最先端を経験した花田徹也氏は、「ビジネス英語においても、以前より短くシンプルな表現を使うのがいまの流れ」と見る。20~30年ほど前はビジネスレターやファクスが主流だったが、それがEメールに変わったころから、ネーティブが書く一文の長さが半分か3分の1程度まで短くなった。「こうしたなかで、従来の出題形式には見られなかったスピーディーかつ簡潔なコミュニケーション・スタイルを盛り込む必要性をETSも感じたのではないか」と分析する。

受験者の対策としては、今年2月にIIBCから刊行されたばかりの『TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編』を入手したい。米国ETSが実際のテスト制作と同じプロセスで書き下ろした練習テストが2回分収載され、音声もTOEIC公式ナレーターが担当しているため、非常に実践的な学習ができる。まだ情報が少ない現在、新形式の公式問題集に取り組むことが、これまで以上にTOEIC攻略の王道になる。

花田徹也
高校卒業後、渡米。南カリフォルニア大学卒業。三菱商事に勤務後、英語講師の道へ。現在、TOEIC特化型スクール「花田塾」を運営。