突如発表されたTOEICテストの「出題形式大変更」。学習者にとっては青天の霹靂だろう。改訂のポイントや受験者への影響、新形式の傾向と対策を、TOEIC界のカリスマ3人に聞いてみた。

口語表現リストに目を通しておこう

変更のあるパート3、4、6、7について、ポイントをいま一度押さえ、対策と勉強法を見ていこう。

【パート3……話者が3人になる】

パート3の会話問題では、設問数が30問から39問に増え、3人での会話が初めて出題される。ただ、3人になったからといって、全体の会話量が極端に長くなることはなさそう。1人あたりの発言は短く、速いテンポでポンポンと会話が進む可能性が高い。対策として、海外ドラマを勧めるのは作家の清涼院流水氏。「私はいまだに海外ドラマを毎日1話は見る。ドラマなら1話あたり40~50分と短いのも好都合。省略形に耳を慣らすのに適している」。

【パート3・4……図表問題の登場】

会話やトークで聞いたことと、問題用紙に印刷された図表などの情報を関連づけて解答する設問が加わる。苦手意識を覚える人もいるだろうが、おそらくそれほど複雑な図表は出題されないのでは、というのが、元商社マンで国際ビジネスの最先端を経験した花田徹也氏の見解だ。

「図表の一行目にそれぞれどのような情報であるかを示す文言が載っている。そこを認識しておけば、中身をすべて先読みできなくても対応できる」

【リスニング全般……短縮形や口語表現などリアルな会話】

リスニング全体として、going toがgonnaになるような短縮形や、Could you?など、文の一部分だけを含む会話が増える。この変更についてTOEIC受験力アップトレーナーのヒロ前田氏は、「本でもウェブサイトでも、口語表現リストの類はいくらでも出ている。1冊ザッと目を通しておくだけでかなり違うはず」という。

【リスニング全般……話し手の「暗示」を問う問題】

現在IIBCのサイトに載っている新形式のサンプル問題でも、会話中にI can't believe it!という表現が出てきて、その意図を問う設問がある。設問にimply(ほのめかす)が使われ、文脈を読み取る設問は従来のリーディングで主に見受けられたが、これが今回、リスニングにも出てきている。

字面通りの意味は「信じられない」だが、そのままの選択肢はない。ヒントになるのは文脈およびイントネーションだと花田氏はいう。「TOEICのナレーターはきちんと感情を込めて読むはず。そこからニュアンスをくみ取って正答を導き出す」。