「人事を預ける。俺の夢に乗れ」

私は「孫さんかもしれません」と言いました。すると「そうだ。俺が変えていく」と力強く答えた。笑い話のようですが、そのときは2人とも大まじめです。そしてこう言われました。

「これまでの人事は、みんなすぐ辞めてしまった。おまえをやっと見つけた。うちに来て、人事をやれ。800社を預ける。世界を変える。俺の夢に乗れ」

私は思わず「乗ります!」と言ってしまった。ここまで約30分。一応、私も人事のプロですが、簡単にひっくり返ったわけです。私は高揚していました。行くと答えましたが、給料やポストの話もしていない。入社して、ソフトバンクの人事部長という肩書だとわかりました。それまでグループの事業会社にはそれぞれ人事部がありましたが、本体にはなかった。私が初代人事部長で、部員は私一人。グループ全体の人事をゼロからつくることになりました。

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(上)欲しい人材を口説き落とすテクニック(下)2013年の決算説明会。ここでも「300年」が出てきた。

それからは米国大手の買収など、毎年新しいテーマが降ってくる。世界で一番大きな構想をもつトップに仕えるのだから仕方ないですね。

内藤誼人が分析 心理学的なツボ

【ビジョンコミュニケーション】「こうありたい」というビジョンは、心の中にもつだけではなく、言葉によって周囲に示すことで、はじめて意味をもつ。優れたリーダーほど、頻繁に、感情を込めてビジョンを語る。

 
ソフトバンク執行役員 青野史寛
1962年生まれ。85年リクルート入社。2005年ソフトバンクへ。人事部長などを歴任。現在はソフトバンク執行役員(人事、総務、社長室統括)、ソフトバンクモバイル常務、ソフトバンクテレコム常務、ソフトバンクBB常務。
(呉承鎬=構成 遠藤素子=撮影 小倉和徳=写真(会見))
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