2016年3月8日(火)

ありのままを受け入れる「マインドフルネス」とは

茂木 健一郎:世界一の発想法

PRESIDENT 2016年2月29日号

著者
茂木 健一郎 もぎ・けんいちろう
脳科学者

茂木 健一郎1962年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学博士専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞を受賞した『脳と仮想』(新潮社)のほか、著書多数。

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茂木 健一郎
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「マインドフルネス」という言葉をお聞きになったことがあるだろうか?

この数年、アメリカを中心に注目され、「タイム誌」が表紙に「マインドフル革命」という言葉を用いた特集記事を組んだほど。創造性を発揮するために、グーグルなどの企業もマインドフルネスを活用しているということで注目され、NHKでも関連する番組が放送された。

「マインドフルネス」とは、簡潔に言えば「今、ここで起きていることを感じて、きちんと受け止めること」。しばしば、そのような能力を高めるための瞑想が注目され、「マインドフルネス」=「瞑想」というイメージもあるが、必ずしもそうではない。マインドフルネスは、もっと一般的な概念なのである。

瞑想をするかどうかは別として、「今、ここ」で起こっていることをきちんと感じることは、大切であると同時に、案外難しい。

「今、ここ」で起こっていることの中には、周囲の環境はもちろん、自分自身の気持ちも含まれる。さらには、向き合っている他の人の感情もその中に入る。

自分の内外で起こっていることをきちんと受け止めなければ、大切な情報を見落としてしまうかもしれない。また、感情に無理な圧力がかかって、心のひずみが生まれるかもしれない。

人間の脳が受け止める情報は、かけ流しの温泉のようにいつもあふれている「オーバーフロー」の状態にあって、もともと、そのすべてをきちんと認識することは不可能である。

しかも、さまざまな思い込みや、固定観念があると、せっかく受け止めている情報も、見落としたり、適切に評価し損なってしまう。「今、ここ」で起こっていることをできるだけフラットに拾うことが大切なのだが、多くの場合それができない。

「マインドフルネス」でしばしば強調される瞑想は、自分の呼吸の様子に注意を向けるなどして、「今、ここ」で起こっていることを感じることができるようにするための、1つのトレーニングである。

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