2016年3月1日(火)

人工知能から学ぶ「英語学習法」

茂木 健一郎:世界一の発想法

PRESIDENT 2016年3月14日号

著者
茂木 健一郎 もぎ・けんいちろう
脳科学者

茂木 健一郎1962年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学博士専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞を受賞した『脳と仮想』(新潮社)のほか、著書多数。

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茂木 健一郎  写真=AFP/時事
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日本人にとって、英語は、永遠の「課題」のようだ。英語学習に関するさまざまな本が出版され、雑誌でもたびたび特集が組まれている。しかし、なかなか上達しない。

英語学習は、多くの人にとって、「鬼門」のようだ。

今回は、英語の学習の仕方を、少し変わった視点から検討してみたいと思う。すなわち、「人工知能から学ぶ英語学習法」である。

人工知能の技術の最近の発展は目覚ましい。先日も、グーグルの開発したプログラムが、囲碁のプロ棋士に勝利したというニュースが人々を驚かせた。

2016年1月22日、ダボス会議において、新聞を読むロボットが展示された。(写真=AFP/時事)

すでに、コンピュータが人間に追いつきつつあると見なされていたチェスや将棋に比べて、囲碁は可能な打ち手の数が格段に多く、計算量が爆発的に多い。人工知能が人間に追いつくのは、早くて10年先くらいのことではないかと予想されていた。

それなのに、これだけ早く人間に追いついてしまったことに、専門家の中からも驚きの声が上がっている。人工知能がここまで急速に進化するとは、多くの人が思っていなかったのである。

人工知能の最近の発展を理解するうえでの重要なポイントは、そのプロセスで特に新しい「原理」が発見されたわけではない、ということである。

もともと、脳の神経回路がどのように学習するかという研究にヒントを得て、人工知能のプログラムの改良法は考案された。したがって、人工知能が実行している学習法は、すべて、人間の脳がやっていることである。

脳が実行する学習則を、地道に繰り返すことによって、人工知能は成功している。そこには、何のマジックもない。

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