2016年3月1日(火)

経営者は東大博士! 人気ニュースアプリの生みの親【2】 -対談:スマートニュース会長・共同CEO 鈴木健×田原総一朗

田原総一朗の「次代への遺言」

PRESIDENT 2016年2月29日号

村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影
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新聞や雑誌の記事を無料で見られるニュースまとめアプリ、スマートニュース。無数にあるニュースはどのように選別され、どんな仕組みで運営しているのか。経産省から天才プログラマーに認定され、学術書も執筆する異色の創業者に話を聞いた。

考案のきっかけはイエモンの『JAM』

【田原】要するに、鈴木さんは国なんてないほうがいいと?

【鈴木】国の存在を全否定しているわけではありません。ただ、国民国家のリスクは認識したほうがいい。もともとヨーロッパで王権から市民社会に移行したときに国の再定義が行われ、国民国家というものが発明されましたが、それによって国民国家同士の同盟が起き、大きな世界戦争が2回起きてしまった。悲劇を繰り返さないためには、集団安全保障など、国民国家をベースにした統治の方法論を洗練させることが大切です。しかし一方で、国民国家に依存しない新しい社会のあり方も模索する必要もある。もう少し具体的に言えば、国家と国民が「1対n」の関係ではなく「n対n」、つまり1人が複数に所属することを前提とした仕組みがいるんじゃないかと思います。

【田原】やっぱりよくわからない。でも、キリがないから次に行こう(笑)。いま説明してもらった「なめらかな社会」と、スマートニュースのビジネスはつながってるんですか。

【鈴木】はい。ザ・イエロー・モンキーというバンドの『JAM』という曲をご存じですか。そこに「外国で飛行機が落ちました。ニュースキャスターは嬉しそうに『乗客に日本人はいませんでした』」と言ったという歌詞が出てきます。これは象徴的な歌詞で、既存のニュースメディアは日本人に向けて発信されている。つまり国民国家を前提としたメディアであるということがわかります。僕は国家単位のニュースがいいとか悪いという議論をするつもりはありません。ただ、オルタナティブとして、国民国家を前提としない情報伝達の仕方があってもいいんじゃないかと思ってます。

【田原】それがスマートニュースをつくるきっかけになったと。

【鈴木】新しいニュースの仕組みをつくろうと考え始めたのは04年です。ちょうどそのころ、フェイスブックやミクシィなどのSNSが出てきました。SNSをベースにしたら、情報を国単位で切る必要はなく、世界の裏側の情報も手に入れば、自分の身のまわりの情報も手に入るという仕組みができるはず。そういうことが実現できるサービスを04年ごろにつくっていました。その後、浜本と出会い、11年に「Crowsnest(クロウズネスト)」というニュースリーダーを出しました。

【田原】これはうまくいったんですか。

【鈴木】いや。最初はもっと多元論的なものを目指していたのですが、制約があって、世界全体と身近なものという二元論をミックスした簡略化バージョンになってしまって。わかったことは「パーソナライズされたニュース」というコンセプトは多くのユーザーにとって興味を引かれるものではなかったということです。

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